パッケージソフトウェアとクラウドサービス

今日の日経新聞に、マイクロソフトの復権が鮮明になったと言う記事が出ていました。継続課金のクラウド事業に事業の軸足を移して売り上げは前年同期12%増です。マイクロソフトオフィスと言えば、パッケージソフトの代表のような製品でした。それがクラウド企業に転換しました。

もはやクラウドサービスは当たり前の時代だと思っていましたが、意外に法人向けのソフトウェアはパッケージで売られていたりします。

今日はパッケージソフトウェアとクラウドサービスと言う、古くて新しい話についてです。

なぜ、パッケージソフトなのか?

法人にとって、パッケージソフトにはかなり経営面から見れば有利なことが多いのは確かです。初期投資をしてしまえば月額の運用コストが安く抑えられます。

また年度末になって、利益が予想外に出た場合に、IT投資は、生産性向上のためにもなります。そして税制面でも、減価償却の優遇が受けられるので、ソフトウェアを買取する形の初期投資にはかなりメリットはあります。

しかし良いことの裏には必ず落とし穴があるものです。

こんなにあるパッケージソフトの落とし穴

ソフトウェアを買い取って運用する場合、まずソフトウェアを動かすためのサーバー環境を用意しなければなりません。エンジニア経験の無い方にイメージがわかないことだと思うのですが、ソフトウェアのメンテナンスは思った以上に大変なものなのです。

ソフトウェアがうまく動いてくれる時ばかりではありません。セキュリティパッチを適用だの、ソフトウェアの不具合修正だの、うまく普通に動かすためのメンテナンスがまず必要です。そして、このための費用が必要になってきます。

ついでながら、ソフトウェアは「動いて当たり前」のものなので、不具合を修正しても褒められることがない因果な仕事です。どんなに頑張っても「やっと復旧したの?」という小言が関の山。システム部門のやる気を維持することも経営にとっては課題です。

昔からあるソフトウェアで、もうバグが出尽くしているようなジャンルのソフトウェアであれば、まだ問題が少ないと思いますが、進化するスピードが早い市場のソフトウェアでは、特に注意が必要です。

自分たちが買取ソフトを使っている間に、世間ではあっという間に新しい機能が一般的になってしまい、買い取ったソフトウェアが時代遅れになってしまう、と言う事はよくあることです。

追加で新しい機能を追加する場合には当然コストがかかりますが、パッケージの買取であった場合、追加開発の費用は膨大なものになります。

最後に、無視できないのは、社内のシステム部門のリソースです。
ソフトウェアのメンテナンス以外に、パッケージソフトの運用を面倒を見るためになんのかんのとシステム担当部門の人間が社内調整に動かなければいけません。

この採用難の時代、システム部門の人的リソースは今や貴重なものです。システム部門が数名で、基幹系はじめ全社のシステムを維持管理している企業にとって、メンテナンスをしなければいけないソフトが1つ増えると言う事は、大きな負荷になります。

クラウドのメリットは”時間”を買えること

クラウドサービスがこういった心配がすべてありません。ソフトウェアはあるべき姿で常に利用でき、メンテナンスは全てサービスを提供する会社がやってくれます。

機能は、追加開発の費用はなく、常に最新のものが使えます。そして社内のシステム担当にかかる負荷も最小限で済みます。

これらのメリットを見て、お気づきでしょうか?

全て、”時間”を節約できるサービスです。Saasと言われるクラウドは、究極は”社内外の誰かが行わなければならない時間”を代替して購入しているのです。

当然月々の経費としてのコストはかかりますが、人手不足・働き方改革が叫ばれている今の時代に、どちらが会社にとって有効か、特に人手不足に悩む中小企業にとって有効かはお判りいただけると思います。

これから新しいソフトウェアを検討されているのであれば、まずクラウドで良いものがないかを探してみることをお勧めします。驚くほど多様なサービスがクラウドで提供されています。むしろ、それらを如何にして使いこなすかが、問われているのです。