いつまでにすればいい?Googleアナリティクスのバックアップ取得

UAの計測停止まであと15日を切りました。Googleからのカウントダウンを見てドキリとした人も多いと思います。まだ移行の済んでいない方は、急いでGA4へ移行しましょう。

しかし6/30日でUAの計測停止ということで、7/1以降まったく旧UAにアクセスできないかのようなブログも散見されます。

これは大きな誤解です。7月1日以降、旧UAは停止しますが、閲覧はできます。Googleはデータの重要性をよく理解していて、バックアップを取得することを推奨しています。

この記事を読んでいただければ、

  • いつまでにバックアップを取らなくてはいけないか
  • バックアップデータを取る前に考えるべきこと
  • バックアップを取る現実的なツール

などがわかります。なお、この記事でご説明している内容は、2つのツールとも公開されたホームページからの引用を基に書いています。

現在のGoogleアナリティクスについて、いつまでにバックアップを取らなくてはいけないか

まず、7/1過ぎても現在のGoogleアナリティクス(Universal Analytics: UA)にはアクセスできますし、データは表示されます。

最低6カ月は、Googleはアクセスを保証してくれているので、バックアップは2023年度内にとっておけばよいことになります。

2023年7月1日以降は、この日よりも前にユニバーサルアナリティクスプロパティで処理されたデータに、少なくとも6か月間アクセスできます。Googleは、お客様のデータが重要であることを認識しています。この機会に過去のレポートをエクスポートすることを強くおすすめします。

googleAnalyticsヘルプより引用

では、どのようにバックアップを取得しておけばよいのかというと、Googleは3つの方法を推奨しています。

1)次の形式でレポートを個別にエクスポートできます。

CSV、TSV、TSV 形式(Excel)、Excel(XLSX)、Googleスプレッドシート、PDF

2)GoogleアナリティクスReporting APIを使用してデータをエクスポート可能

3)Googleアナリティクス 360をご利用の場合: BigQueryへのエクスポートも可能

また、ユニバーサルアナリティクスのサポート終了日までに、データのエクスポートに関する詳しいガイダンスを発表する予定です。

GoogleAnalyticsヘルプより引用

とありますので、何らかの予告かアナウンスが出されると思われます。

ですから、結論として、今すぐにUAのバックアップを取らなくてはまずいというものではありません。まだ半年猶予がありますし、GoogleからUAの完全停止とバックアップデータについてのアナウンスがまだ出てからでも、決して遅くはありません。

バックアップデータを取る前に考えるべきこと

バックアップを取得する前に考えるべきことがあります。それは

期間: いつまでのバックアップをとるのか
対象: どのデータを対象にするのか
粒度: どこまで細かくデータをとるのか

要はバックアップ取得した後、そのデータをどの程度使うか?ということです。

チーム全員でAnalyticsデータを見て分析しており、今後の施策のために、過去のキャンペーンの実績データを細かく見たいという場合には、バックアップを取得して見やすい形で保存する必要があります。

しかし、月に一度月次データを確認するだけで、過去のデータを分析にそれほど使っていない、という場合、それほど長い間のバックアップをとっておく必要はないでしょう。

しかも、現在のGoogleアナリティクス(UA)とGA4はデータ定義からして完全に別物です。例えば、同じユーザ数の比較をしても、「ユーザ」をカウントする計測定義やタイミングが異なっているため、正確な比較にはなりません。

一番大きく定義が変わったのは、セッションとコンバージョンです。

セッション数

UA GA4
・日付が変わると新しいセッション
・サイトから離脱し別の流入元から訪問した場合、別セッションとしてカウント
・日付が変わってもセッションは途切れない
・サイトを離れたユーザでも、一定期間(デフォルト値30分)以内であれば、同じセッションとしてカウント

コンバージョン数

UA GA4
1つのセッション内で複数回コンバージョンが発生しても、重複を排除してカウント 1つのセッションでコンバージョンが複数回発生した場合でも、そのままコンバージョンとしてカウント

離脱率

UA GA4
離脱率=離脱数÷ページビュー数 離脱率=離脱数÷セッション数

直帰率

UA GA4
直帰率=直帰数÷セッション数。
Webサイトを訪問した後、1ページしか見ずにそのままサイトを出たセッションの割合
直帰率=1−(エンゲージメントセッション数÷セッション数)エンゲージしなかったセッションの割合。
「エンゲージメント」のあったセッションとは
・10秒以上の滞在(管理画面で秒数は最大60秒まで変更可能)
・2ページ以上の閲覧
・CVイベントの発生
のうち、いずれかが発生したセッション

このように、データの定義が違うので、正確にはUAとGA4でデータを突き合わせても数字は合いません。過去のデータをどこまで細かく、どの期間まで取っておくかは会社ごとに必要に応じて方針を決めるべきだと思います。

バックアップを取る現実的なツール

そんな難しいことを言わなくても、無料で取得できるなら、バックアップを全部とっておけばいい、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、Googleアナリティクスというサービス自体、膨大な計測データを保持しているため、バックアップはそう簡単に取得できるものでもありません。
先に述べた3つの方法には、それぞれプラスマイナスがあります。

1)レポートを個別にエクスポート
CSV、TSV形式(Excel)、Googleスプレッドシート、PDFなどでデータをエクスポートできます。ただし、出力されるデータはGAの画面で表示されるデータをそのまま出力してくれるわけではありません。

UA上にはデータの種類がいくつもあり、期間の設定次第で無限にレポートが出せます。これを手動で1つずつ出力指定しなくてはなりません。さらに、出力したエクセルまたはCSVデータを見やすくするために加工する必要があります。後で活用することを考えるとやや不便です。

2)Googleアナリティクス Reporting APIを使用してデータをエクスポート可能
手動の手間はなくなりますが、APIを活用するためにプログラムを書く必要があります。また、APIの上限が決まっています。

3)Googleアナリティクス 360をご利用の場合: BigQueryへのエクスポートも可能
こちらもプログラムを書く必要があります。また、BigQueryのリクエスト上限が決まっているため、コストがかかる場合があります。

Googleアナリティクスを使っているのは主にマーケターの方であり、過去のデータだけのために大きな開発費用や工数をかけるのは避けたいと思う企業が多いのではないでしょうか。

では、現実的に使えそうなツールはないのでしょうか?

2023年6月の段階では以下の2つがありました。

Analytics Backup by QA

一般レンタルサーバーやAWSなどのパブリッククラウドにWordPressのサーバーをインストールし、その上でソフトウェアを展開して旧UAのデータをAPI経由でインポート・保存し、見やすくしてくれるツールです。

買い切り型なので、それなりに費用はかかりますが、どうしてもUAのビューをこれまでどおり保存して分析したいという企業向けには良い選択肢です。

UABackup

CSV形式で一括データを取得し、LookerStudio上で旧UAのデータを表示するツールです。
サンプルレポートはこちらです。

データを一括で取得するまでは無料です。しかし、データをLookerStudioで可視化するサービスは月額780円です。

手軽に過去のデータをバックアップできます。

どちらも取得できるデータを公開しているため、必要なデータが取得できるのか確認した上で、どちらを使うか決めることをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

旧UAのバックアップをどのように取得するかについての最終期限と考え方、現段階の具体的なツールについてご説明しました。

GoogleはGA4導入とUAの計測停止については発表していますが、UAのサポート終了日についてはまだアナウンスされていません。

「数か月以内に、既存のユニバーサルアナリティクスプロパティのサポート終了日についてお知らせする予定です。」とあります。

もしかしたら、Google側で無料のLookerStudioテンプレートをいくつか用意してくれるかもしれません。

それまでに、自社はバックアップをどのくらいの期間、最低どれだけの項目が必要なのか、の大まかな方針を決めておくことをお勧めします。

これからUAのバックアップ検討を考えている方の参考になれば幸いです。