SEOとCV最適化|大いなる矛盾と解決策

SEOで、ユーザーを集めることには成功したけれどコンバージョンは上がらないと悩んでいませんか。

逆にコンバージョン率は非常に高いのだけれども、集客はなかなか上手くゆかないいうお悩みもあるかもしれません。

SEO で特定のコンバージョンに有効なキーワードがわかれば、そのキーワードに対して広告費をかけて有効なキーワードでユーザーを集めれば、永久にコンバージョン率の高い質の高い顧客が集まるはず。

しかしなかなかそうはうまくいきません。

私も同じことで悩んでいました。某コンサルティングの方から、SEOというのはコンバージョンにしやすい、いわゆる「質の高い顧客」集めることを目的にやるものだと教わったことがあります。

しかし、最近考えを変えました。

というのは、あるアメリカのコンサルタントの話やSEOツール会社の事例セミナーなどを聞くにつれ、なるほどこれは大いなる矛盾ではないかと気づいたからです。

インターネットによる集客ということと、コンバージョンの最適化というものは全く別で、コンバージョンする確率の高い「質の良い顧客」をSEOで無限に集めることができる、ということがそもそも幻想なのではないかと思います。

今日はなぜ SEOで「質の良い顧客」を集め続けることが幻想なのか、ではどうすればよいのかということについてご説明したいと思います。

潜在顧客のピラミッド

SEO による集客と、コンバージョンさせるということを別々に考えたほうがいいというのが私の結論です。 

アメリカの有名なマーケティングコンサルタントで、チェット・ホームズという人がいます。つい最近亡くなりましたが、彼は「究極のセールスマシーン」という本を残しています。

生前のセミナーを最近、見る機会があったのですが、その中で非常に面白いことを言っていました。

今すぐ客は全体の3%

彼が関わったあらゆる業界の中で、潜在顧客の内訳というのはほぼ決まっているというお話です。

車であれ家具であれどんな商材であれ、今まさに買おうとしている顧客というのは全体の3%しかいない。

次に今ではないが買う気になっているという顧客はその次の6%。次の30%は何も考えていないという人達。その下にある30%がそもそも全くその商材に関心がないという人達。車の例でいえば車というものに興味がない人達です。

そして、最底辺にある人たちは車というものを絶対に買わないと決めている層、ネガティブに考えている人達です。

要するに、購入ということに前向きなユーザーは、頑張ってもせいぜい1割しかおらず、残りの90%はほぼ何も考えていないか、ネガティブというのが現実なのです。

検索をするのは基本、人間です。(ボットの場合もありますが、特殊例なので除きます)検索ウィンドウにキーワードを入力している人が、どの層に当てはまるのだろうか、と考えるとどうでしょう?

彼はSEO の専門家ではありませんが、マーケティングの専門家です。SEO というのもマーケティングの一種です。いますぐ購入に結び付くキーワードを入力する人は、そもそもそれほどいない、ということに気づきます。

せいぜい、顧客層のピラミッドの10%弱であることが判ります。

検索というものの限界

これが、SEOであれ、検索広告であれ同じで、検索サービスの限界というものだと思います。

いますぐ購入に結び付くキーワードというのは自ずと決まってきます。

ニッチなキーワードであればとてもラッキーです。 そのキーワードで SEO 対策をすれば ブル―オーシャンは長続きするかもしれません。

しかし今すぐ買う気がある顧客というのは全利用者の3%しかいません。誰でも考えつくような商品名に近いキーワードの広告単価は高騰します。そして、SEO の難易度も高くなります。

コンバージョンするような「質の高いユーザー」を SEO で自社のホームページに無限に連れてくることができない、そもそもマーケットにいる「今すぐ客」の数は有限だからです。

CV率を高めるということ

SEO による集客と、コンバージョンさせるということを別々に考えたほうがいいというのが私の最近の結論ですが、ではコンバージョンに最適なホームページというのはどのようなものでしょうか。

コンバージョンしやすいホームページというのはユーザーが迷わないホームページです。

具体的に言ってしまえばランニングページのようにユーザーには目立つアクションを促すボタンだけ置き、それ以外のものは置かないというものです。

おおいなる矛盾

しかしこのランディングページの考え方は、ホームページというものと矛盾しています。

というのも企業のホームページというものは、顧客に対して自社情報をより詳しく知ってもらうために情報を盛り沢山乗せるというのが通常の考え方だからです。

また SEO 的に言えばホームページの内部リンクを増やすことは SEO 対策として理にかなっています。

ですから一度ホームページに来訪してもらったユーザーには、関連した商品や商材をたくさん見せ、 次のページに回遊してもらい回遊率を高めるというのが ホームページの常識です。ページ数が多くなれば、SEO的にも流入するページが増え、ホームページ経由での流入に結び付きます。

つまりコンバージョンしやすいホームページというのと流入を増やすことに向いているウェブで集客しやすいホームページというのはそもそも矛盾しているわけです。

来訪者は金魚

しかしここはコンバージョンさせたいページ、と思った場合には、余分なリンクを置かないほうが正解だと思います。

以前ホームページを訪れるユーザーは金魚という話を書きました。

どこを読んでよいかわからない、どのボタンを押していいかわからないホームページから、一瞬にして顧客は離脱してしまいます。

金魚というのは極端な言い方ですが、このページを読むか読まないか、来訪者はわずか3秒間で判断すると言われます。

それぐらいのわかりやすさでないと、「金魚」はホームページから泳ぎ去ってしまいます。

SEOとCV最適化の矛盾の解決策となるMA

前章で申し上げましたが、SEOで集客を最大化するホームページと、コンバージョン率を最大化するページというのはそもそも矛盾が出る、という話をしました。

SEOで集客を最大化するホームページの場合、流入する利用者の質も、全てがコンバージョンしやすい層とは限らなくなってきます。

SEO 対策を進めていくにつれ集客を最大化しようと思うと、どうしても「今すぐ客」を取り尽くした後は、購入予備軍と思われる「これから検討」の顧客を集めなくてはならなくなります。

ピラミッドで言うと、流入するキーワードが増えるにつれ、「今ではない層」「なんとなく知っている層」も増えてしまいます。

ではこの矛盾を解決する方法はないのでしょうか。それがマーケティングオートメーションです。

MAマーケティングオートメーションの役割

そもそも、市場に「今すぐ客」というのは全体の3%しかいません。その下には今すぐではないが検討している購入予備軍と思われる「これから客」というのは6%はいるのです。

「これから顧客」というのはマーケティング的には大きな意味があります。

いつかは購入を検討しそうな人々ですから、早めにアプローチしておき、自社の情報や製品についてゆっくり知ってもらうということは大きな意味があります。

購入を検討する段階になって、真っ先に自社のことを思い出してもらえれば、他社との比較検討の時には大いに有利になることは間違いありません。

「これから客」とじっくりお付き合いするのに最も適したツール、これがマーケティングオートメーションです。

顧客のタイミングを見てアプローチをできるのみならず、そのタイミングが来るまではゆっくりじっくり定期的に、自社の考え方や製品を知ってもらうことができます。

もちろんMAだけに頼るのではなく、時には「これから顧客」と呼ばれる方達を特別なイベントに招待してもいいでしょう。

要するに購入検討のポイントが来るまで、顧客との関係性を深めておくということが大事だということです。

今すぐ客とこれから客

ですので、全てのリードの獲得を SEO や広告という「今すぐの顧客」を刈り取るというやり方に頼るのではなく、 MA などで顧客とのじっくりと関係性を深めていって「これから客」を増やすというやり方で、実は SEO や広告の弱点を補うことができるのです。

SEO や広告にかけた費用で、仮に購買に結び付かなかったとしても、「これから客」になる可能性は十分になるわけですから。

特に商材の検討期間が長い商材を扱っているビジネスの場合、 SEO 広告などと並んでMAマーケティングオートメーションは非常に意味の施策です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

SEO や検索広告は非常に細かく狙ったユーザに対して自社をアピールできる方法としてとて非常に手っ取り早く有効な方法です。

今すぐお客を狙ったやり方としては有効な方法ですが、しかし「いますぐ客」の数には限界があります。全てがすべて「いますぐ客」にはなりえない。

むしろ、「これから客」の方が多いのです。

MAでは「いますぐ客」にならなかった訪問者を集めて、自社リストを作り上げることができます。

自社のリストということは直接自社でキャンペーンに利用することができます。

SEOや企業広告などで集客の課題を全て解決することはできないですが、MAで集客面での弱点を補うことができる、というお話でした。