既にご存知かもしれませんがGoogle から無料で提供されてきた A/B テストツールである Google Optimizeが突然終了を発表しました。今年の9月30日でサービス提供を終了します。突然のことなので困っておられる方も多いと思います。公式発表はこちらのページです
https://support.google.com/optimize/answer/12979939?hl=ja
GoogleはGA 4に Google Optimize に似たような機能を追加するような話をしていたらしいですが、正式なリリースはまだありません。
A/Bテストというのはご存知の通りランディングページやホームページの改善のために使える有効な方法です。テキストや画像等の要素を、Aパターン、Bパターンで準備し、ユーザーにランダムに表示して、その結果を比較して、よりよいパターンを見つけてゆくことができます。
GoogleはこのA/Bテストツールを2017年から無料で提供してくれていました。
ランディングページの数が少なく、それほどPVが多くない会社にとってはありがたいサービスでした。
いきなりGoogleから停止と言われてもランディングページの最適化を止めるわけにもいかず、まずは10月以降の代替えの製品を探さなくてはいけません。
そこで、今日は Google Optimize に変わるランディングページ最適化のツールがどれだけあるのか、調べてみました。
私自身も、ディスプレイ広告からの流入を集めているランディングページを最適化するプロジェクトを抱えており、適切なツールを探す必要があります。
有料のツールがあることは知っていますし、お金を出せば解決できる問題であることもよく分かっています。
しかしマーケティング予算も上限がある中小企業の場合、ツール一つにかけられる費用は限られています。 かつ使う機能もそれほど高度な分析機能は必要ありません。
今使っているGoogle Optimizeの代替になればよいという視点で比較しています。
同じ悩みを抱えておられる企業様のお役に立てば幸いです。
比較の前提
今回は、
- テストしたいランディングページはせいぜい数ページ
- PVは月間2000PV程度
- ページのレイアウト等を変更して簡単な勝ち負けを実施
- 多変量解析等の高度な機能は必要ない。
という前提条件で調べました。
ですので、最初から高度な機能(ウェブ解析機能やレコメンデーション等)やコンサルティングサービスがついているものは調査対象から外しました。
むしろ、Google Optimizeと画面の操作性が違わないか(ノーコードで使えるか)や簡単に導入可能か、費用面はどうか、というポイントで調べています。なお情報は2023年2月現在のものです。
代替え製品候補
Optimizely
世界シェアNo.1 で実績がある世界的に有名なサービスであり、日本語での対応も可能です。PC以外にもスマホでのテストやモバイルアプリでのテストなどあらゆるデバイスでテストを行うことができます。Googleが推奨する代替えツールでもあります。
https://www.optimizely.com/
Optimizely社(本社米国NY)
サービス提供 日本では株式会社ギャプライズが正規代理店
操作性
ノーコードでテストパターンの制作が可能。
価格
非公開だが、費用はかなり高そう。Google Optimizeからの乗換割引が提供される
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000057359.html
テストツール、お試し期間はある。
導入の容易さ
GTMを利用して簡単に導入可能だが、タグは直書き推奨
DLPO
日本国内実績No.1のLPOツールです。
DLPOは、2007年に老舗SEOサービス企業であるアイオイクス社の1プロジェクトとしてスタート。2013年にデータアーティスト社としてDLPO事業をスピンアウト。
2018年にデータアーティスト社の電通グループ入りをきっかけに、DLPO社として独立。
サービス提供 DLPO株式会社
操作性
Google Optimizeと同じ操作性
価格
公式HPでは非公開 比較サイトの情報から調査したところ 月額10万円程度( ~30万PV/月)
テストツールやお試し期間はなし
導入の容易さ
GTMを利用して簡単に切替可能
VWO (Visual Website Optimizer)
全世界の2500ブランドへの導入実績、訪問者ごとにマウスの動作と滞在時間を録画して確認することが出来るため、的確な分析が可能になります。2010年からA/Bテストツールを提供
https://vwo.com/
Wingify社(本社インド デリー)
サービス提供 日本では株式会社SHIFT、株式会社ギャプライズが正規代理店
操作性
ノーコードでサイト編集が可能
価格
月額9万円程度(~月間1万UU)
その後、偶然「ABテストツールVWO 無料プランの提供を開始」という記事を発見。月間5万人までは無料プランで対応可能
導入の容易さ
GTM経由だと、チラつきが大きくなったりするので、タグ直書きを推奨。ただしGTMでの設置も可能
Ptengine
世界180ヶ国、20万以上のユーザーにサービス提供実績。利用満足度90%を超えるアクセス解析ツールです。全世界で20万人以上に利用
アクセス解析を行PtengineInsghtとページ改修やA/Bテスト、パーソナライズができるPtengineExperienceの2つのサービス。Experienceのみでも契約可能
https://www.ptengine.jp/
株式会社Ptmind(本社 東京)
操作性
ノーコードでサイト編集が可能
価格
価格表あり。3,000 PVまでは無料。そこからはPVに応じて課金
https://www.ptengine.jp/plan/
導入の容易さ
GTMで実装可能
Juicer
Juicerは、インターネット上の匿名ユーザーの属性・興味関心・購入検討の状況などをビッグデータと人工知能で分析、推定するデータ分析基盤です。2018年グッドデザイン賞受賞
機能の1つとしてA/Bテストが使えますが、どなたにも簡単にご利用いただくため、シンプルなA/Bテストのみを提供しております。コンテンツの配置を変更するテスト、URLを振り分けてページ単位で成果を判定するテストには対応しておりません。
あるコンテンツ(画像、テキスト、ボタン)を異なるコンテンツに置き換えるタイプのテストにのみ対応しています。
https://juicer.cc/
株式会社PLAN-B(本社 大阪)
操作性
エンジニアの方でなくてもソースコードに触れることなくテスト実施が可能
価格
基本機能はすべて永久無料
導入の容易さ
一行のタグをサイトに埋め込むだけで使えます。GTM経由でも利用可能
SiTest
Webサイトの解析から改善までを一元化できるLPOツールです。スクロールやマウスポインターの動きを色で確認できるヒートマップ機能が充実しており、訪問者の行動を視覚化します。また、A/Bテストの他に多変量テストやターゲットの属性に合わせてLPを振り分けるFLPO(LP最適化)が実施可能です。アジアでの導入実績70万サイト突破
https://sitest.jp/
株式会社グラッドキューブ(本社 大阪)
操作性
エンジニアの方でなくてもソースコードに触れることなくテスト実施が可能
価格
30,000PVまで無料ただし、お試し期間は2週間のみ
それ以上の価格は非公開。調査によると、SitestLITEには、A/Bテスト機能はないので月額50,000円程度
導入の容易さ
GTMで利用可能
CVX
LP制作/運用ニーズにお応えするノーコードLP制作/LPO支援ツール。特にランディングページを自社内で制作したい企業向けのLPO支援ツール
但し、ツール内のページ同士でないとAとBを戦わせるテストはできない。ドメインはサブドメインを割り当てる形式で導入
操作性
充実したページ編集機能。変更したい「テキスト」も「画像」もカーソルをあわせて、操作するだけ。
価格
価格表非公開。調査によると、月額28000円(1ドメイン3ページ)から。
お試し期間有り、2週間無料
導入の容易さ
GTMで利用可能
まとめ
シンプルに解析ツールはGA4で行い、LPのPVは月間2000程度でそれほど多くない、Google Optimizeの機能だけを代替えしたい場合の選択肢をかなりざっくりで表にするとこんな感じでしょうか。
サービス名 | 操作性・機能 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|
Optimizely | ◎ | 非公開だがかなり高め | Google Optimizeよりも以前からサービス提供 Google乗換推奨ツール |
DLPO | ◎ | 月額10万円程度 | |
VWO | ◎ | 月間5万UUまで無料 | Google Optimizeよりも以前からサービス提供 |
Ptengine | 〇 | 月間3000PVまで無料 | 設定数に制限あり |
Juicer | 〇 | 永久無料 | 機能が限定される |
SiTest | ◎ | 約5万/月~ | |
CVX | ◎ | 2.8万/月~ |
もともとサイト解析ツールの一部として A/B テスト機能を提供しているツールもあれば、A/Bツールに特化して提供しているサービスもあります。
あらためて判ったことは、A/B テストのツールは、解析機能にパーソナライズ機能がついているような高度なものは、やはり大規模向けのサイト向けに作られているものが多いです。
無料のものでも、上限PV数、設定できるページ数、月間UU数、機能等の制限があります。自社で導入される際には、実際にテストするランディングページの実態に合わせたものを選択してください。
こうやって並べてみると、おすすめはVWOです。2023年の1月にプレスリリースでGoogle Optimizeからの乗換無料プランを発表してくれたのは有難いです。Google Optimizeよりも昔からサービスがあるので信頼できます。まだ使ってみてはいないですが、無料ですので少々不便でも使いこなそうという気持ちになります。
皆様がサイトを調べる時間の短縮になれば幸いです。