【BtoBマーケティング担当者向け】イプロスものづくりとは?競合メディアとの違い

B2Bでウェブマーケティングをやっている方であれば、イプロスというメディアをご存知だろうと思います。

Webの担当者になったけど上司から言われてイプロスの登録や設定をしているけど、面倒だと思ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

今日は、このイプロスというサイトに登録する意味や効果が本当にあるのかについてご説明したいと思います。

と言うのも、中小企業や製造業のお客様で、このサイトで有料契約しているのにも関わらず、有効活用されておられない会社があまりにも多いからです。

使い方ひとつで有効な営業リストを獲得することができるイプロスというサイトについてご紹介したいと思います。

イプロスものづくりとは?

イプロスというサイトはB2Bでは、閲覧会員数、出展企業数がともに日本最大級のBtoBデータベースサイト。170万人を超える会員に、6万社以上の企業がPRしています。

情報を掲載したい出店企業側と、情報収集をする閲覧企業側をマッチングするサイトで、B2Bのマッチングサイトの中では老舗中の老舗です。

イプロスの歴史

2000年に株式会社キーエンスの社内ベンチャーとしてスタートしましたが2001年に株式会社イプロスが誕生し、イプロス製造業がスタートしました。

製造業が成功したのでこのモデルを横展開し、2009年にイプロス建設業、2013年にライフサイエンス医薬を開始しています。これらは、サービス名を「イプロス製造業」から「イプロスものづくり」に、「イプロス建築建材インテリア」から「イプロス都市まちづくり」になり、「ライフサイエンス医薬」は「イプロス医薬食品技術」に変わり、現在はイプロスのサービスの3本柱になっています。

この3つのサイトは、素材から製造装置などの製造業全般、建設資材部材などの建設業全般、医薬食品関係の素材から製造機器まで、川上から川下に近いところまでかなり幅広くカバーしています。

閲覧は会員制なので、一般のユーザーを対象としていないサイトです。ただし会員として閲覧しているユーザーは、必ず会社員で明確な目的を持って来訪しているユーザーなので、とても意味のあるユーザーが集まっていると言えるでしょう。

イプロスは怪しい?

2020年頃からイプロスの会社名を語って怪しげな金融業者が融資の勧誘の電話をしつこくしたりする例が多発しているようで、イプロスというのはとても怪しげな迷惑電話をかけてくる会社というようなブログの書き込みがいくつか見られました。

よく調べてみると、迷惑電話で通報されている電話番号と、イプロスの代表電話として公開されている電話番号が、本当に1つの数字しか違っていませんでした。

イプロスの営業電話番号のように見せかけて、勧誘の電話をかけてきている業者がいるのでしょう。

イプロスの側も、自社の電話番号が怪しげな金融の勧誘電話と間違われている可能性が高いので何らかの対策を取るべきでしょう。

イプロスという会社はマッチングポータルなので、よほどのことがない限りこのような電話を直接顧客の会社にはかけない会社です。

イプロスと言う会社は、怪しげな電話をかけてくる業者ではなく、老舗のマッチングサイトです。

イプロス:ポータルサイトとしての効果

製造業のマッチングサイトとしての規模

製造業のマッチングサイトであるイプロスは、これまで述べたとおり製造業、建設業、医薬食品合わせて160万人という巨大サイトで、月間8万件のマッチングが成立し商談が発生しています。2014年の採用データによればPV数は月間1000万PVに上るとのことです。

ですがこのうちの製造業の部分だけのデータをイプロスは公開していません。

しかしイプロスものづくりが一番古いことから考えると、利用者数のおよそ6~7割はおそらくイプロスものづくりで獲得しているのではないかと思います。

かりにこの推定で計算したとしても、およそ月間100万ユーザ、5万件の商談が成立していることになります。

利用者側から見たイプロス利用のメリット

このような技術資料や製品カタログ等を閲覧したい時には、利用者はイプロスに会員登録をする必要があります。

会員登録をすると自分のマイページというものが見えるようになり、ここでダウンロードをした資料などを閲覧することができます。

閲覧者側が、イプロスを利用するメリットは、複数メーカーの製品や仕様比較をするための情報収集が楽になるということです。

1)ランキングや技術資料等が閲覧できる

企業ランキング、ものづくりランキングなど来訪者を飽きさせないようなランキングという仕掛けが昔からあります。

最も閲覧頻度の高い企業や製品をランキングして公開するものです。

確かにタイミングによっては、ものづくりのランキングに、水処理の製品ばかりが並んでいたり、ものづくりにあまり関係なさそうな会社が企業ランキング1位になっていたりするので、ややこのランキングに疑問を持つ人は多いかもしれません。

2)テーマ別検索で、基礎知識や技術資料がすぐに手に入る。

出展企業も、ダウンロードやカタログ閲覧に結びつけるために、かなりしっかりした基礎知識の資料や技術資料をイプロスに掲載しています。

例えば、「イプロス ゴム 基礎知識」とGoogleで検索すればイプロスに掲載されているゴムの基礎知識があるページが表示されます。

このようにろ過、防爆、水処理等、業界で少し突っ込んだ知識を手っ取り早く知りたい時はとても便利です。

面白い使い方としては「農業」というワードで検索すると農業に使える製造業の機械や部品などを一括して検索して表示してくれます。

3)企業名での検索

どの会社の資料を探しているのか明確な時もイプロスは便利です。

例えば、パナソニックの製品カタログを探しているとしましょう。

これをパナソニックメーカーのサイトで探そうと思うと、またログインの都度、ユーザーの登録をし、フォームに入力をしなくてはいけません。

イプロスであれば、一度ログインしてしまえばその中でパナソニックのカタログを探せば良いことになります。

製造業の場合、製品選定で一つのメーカーだけを探すことがなく、必ず製品の比較をします。

利用する側にとっては複数のメーカーのカタログを、一度にダウンロードできるため手間を省ける便利なサイトになっています。

出展企業から見たメリット

明らかに情報収集をする意図を持った見込み客がやってくるサイトに、自社のカタログや技術資料を置くことによって、自社の見込み客のリストが簡単に作れるということが最大のメリットです。

自社のカタログや技術資料を掲載するのは無料です。

見込み客の多いサイトに無料で掲載できるのですから、自社の見込み客の獲得のために、企業側も中身を工夫して技術資料を出していたりします。

もちろん全ての中身を見たわけでないですが、タイトルの見た目等は少なくともかなり工夫されています。

またSEO対策として効果があるというのは多くの企業が指摘しています。

これはイプロスという巨大サイトのドメインの力が強いため、同じ製品を探している利用者がいた場合、自社サイトが上位に表示されるよりも、イプロスのページに掲載していた方が、はるかにSEOで上位表示される確率が高くなるからです。

イプロスの類似サイトは?

このようにイプロスは、出展企業各社のカタログや資料を掲載する巨大なカタログスタンドのような役割を果たしていて、掲載する企業側と情報を探す担当者をマッチングするサイトなわけです。

イプロスと似たような製造業のB2Bの販促・営業支援をするようなマッチングサイトは、他にあるのでしょうか?

結論から言うといくつかあります。老舗から比較的新しいものまでありますが、いずれも製造業の古い体質に疑問を感じて、販促・営業支援を行っているという意味で共通点があります。

Aperza(アペルザ)

2016年7月に創業した比較的新しいサービスです。

創業者は松本慎一郎氏。株式会社キーエンスに入社し、そのままイプロスの立ち上げに参画した経験者で、一旦退社後にこの会社を立ち上げました。現在もCEOを務めています

イプロスがカタログデータベースに特化していたのに対し、アペルザは「プラットフォーム」として、動画から受発注クラウドまで全方位的なサービス提供を行っています。ニュースサイト、ECサイトとラインナップを増やしており、利用企業数8万社、利用者数50万人(2022年3月時点)という規模です。

主要なサービスは以下のとおりです。

1)ポータルサイト「Aperza(アペルザ)
ものづくり産業向けに特化したポータル検索サイトを運営しています

2)アペルザDX(Apérza DX
製造業分野に特化した受発注管理クラウドサービスです
製品・サービスの認知・引合い獲得をはじめ、顧客情報の一元管理、名刺のデジタルデータ化、メールマーケティング機能、インターネットFAX機能、eコマース機能など、営業・マーケティング活動を支援する様々な機能・サービスを提供しています

3) アペルザTV(Apérza TV
製造業に特化した300本以上の動画が完全無料で視聴できます。
ものづくり技術者の役に立つ基礎知識や最新動向、課題解決事例などを動画で解説しています。動画視聴中に登壇者への質問や名刺交換、投影資料のダウンロードも可能です。
月間利用者数は45万人超。ものづくり技術者へのリーチを支援するとともに、出展企業およびイベント開催パートナーによる告知先を含め、最大200万人超のリーチが可能です。

4)アペルザカタログ(Apérza Catalog)

ものづくりや研究開発の現場で必要とされる、様々な製品のカタログや技術資料を、メーカー横断で検索、ダウンロードできます

これ以外に、ものづくり産業向けに特化した法人向けモール型ECサイト(AperzaEC)やユーザー参加型の「ものづくりニュース」、IoTなどの情報に特化したキュレーションサイト「Industry4.0Central」、さらに業界紙として40年以上の歴史を誇る「オートメーション新聞」も運営しており、情報発信に力を入れています。

Metoree(メトリー)

2020年9月にサービス開始したBtoB製造業に特化した製品比較サイトです。

名古屋大学発ベンチャーのZAZA株式会社が運営しています。

創業者の永津豪氏は、名古屋大学工学研究科に所属している現役大学院生で、コロナの影響で、展示会への出展や訪問営業活動ができない製造業の力になりたいと新しい会社を立ち上げました。

産業用製品(測定器・センサ・プリンティング機械・工具など)6,218カテゴリー、産業用製品メーカー・代理店など73,937社、各社カタログを掲載しています。

利用者数については、ZAZA株式会社から公式な利用者数については公表されていません。

エンジニア・研究者や購買担当者は、Metoreeに掲載されている各製品の特徴等の情報から、比較、検討の上、用途に合った製品を選ぶことができます。

産業用製品メーカ―側は、Metoreeに自社の製品の掲載を行うことにより、産業用製品の購入検討段階のエンジニアへのアプローチが可能となり、オンラインで見込顧客からの問い合わせを獲得することができます。

イプロスと大きく異なるところは、成果報酬型課金であることです。掲載料という月額の固定費ではなく、エンジニアや研究者等の利用者が資料を請求する毎に料金が発生する仕組で、出展側のメーカーは無駄なコストを抑えることができます。

モノタロウ「MonotaRO.com」

こちらは事業主向け製品比較サイトというよりも、間接資材調達サイトです。

こちらも老舗で、2000年10月に住友商事と米国グレンジャー社の出資により設立され、近畿地方・東海地方40社限定でテスト運営を開始しました。翌年、間接資材調達サイトとして全国展開をはじめて本格営業をスタートさせました。

以来、成長を続け現在は、インドネシア等への海外展開まで果たしています。

創業者は瀬戸欣哉氏で、間接資材の業界に、オンラインで新しく効率的な購買プラットフォームを構築して、間接資材調達の仕組みを変えたいという志があったとのことです。

現在は、約2000万の取扱製品、取扱メーカー数16000社という圧倒的な品揃えの産業用品(工具、工場消耗品、配管部品、溶接用品、安全用品、物流・保管用品など)をウェブサイトやカタログを通じて販売し、平日15時までの受注は当日に出荷してくれます。

購入頻度の高い商品から年に一度しか買わない商品まで見つかるのが最大の特長です。

短納期のお届けで在庫管理も不要となり、調達先が一本化されて購買業務におけるコスト削減・業務スピード向上を実現します。

凡その利用者数ですが、2022年12月期のIR資料によると登録会員数は、800万口座です。

NCネットワーク

世界の製造業を総合的に支援するモノづくり支援事業を展開しています。

こちらも老舗で、1997年に製造異業種9社が集まってインターネット上で結び、相互取引を開始したのがスタートで、翌年にWeb会員事業を開始します。

これは現在もエミダス事業として引き継がれています。

1)工場検索エンジン「エミダス」

エミダス工場検索は、製造業に特化したポータルサイトで、登録者数は22,000社以上。大手メーカーをはじめとした「発注者」が、日々発注先を探すために利用しています。

エミダスは年間で1,000万件以上のアクセスがあり、大手メーカー、Tier1、Tier2メーカーなど、国内外多くのメーカーが発注先探しに訪れています。

機械加工、樹脂成型、板金・製缶・プレスなど、業種に偏らず様々な問い合わせが毎日行われていることが特徴です。

発注側のメーカーと工場との橋渡しという役割をこの企業は果たしており、国内外の工場の橋渡しのため、アジア(中国、タイ、ベトナム)での製造業特化の現地市場開拓や調達支援、アメリカでの試作や量産品の調達、部品供給などを行っています。

迷ったらまず無料出展

以上イプロスというがどんな会社なのか、どういった特徴・評判があるのか、他の製造業を支援マッチングサイトとどのように違うのかなどについて見てきました。

いずれの製造業のマッチングサイトも、日本の製造業に何らかの課題を感じ、その課題を解決しようとしてオンラインを使って創業しています。

また製造業のサイトは老舗が多いですが、動画ポータルという新しいタイプのサービスも出てきています。

それぞれの利用料や料金体系も異なりますし、製造業の中でも得意なジャンルも違いますので、自社製品にあったマッチングサイトを選んでください。

イプロスは、ちょっとカタログや情報を見ようとすると、すぐにログインを要求されるので利用者側からすれば、いささか鬱陶しいと感じるサイトです。

が、ユーザーの情報を登録してくれるからこそ、出店企業側も意味のある自社の情報を出すわけで、会員制という仕組みが非常にうまく回っているサイトに見えます。

無料出展できるので、まずは試してみる価値はあるサイトだと思います。

次回はイプロスの機能や使い方について詳細が説明をしたいと思います。