とあるお客様のところへ定期的にお伺いしていますが、デジタルマーケティングがなかなか進みません。
人がいない、かねがない、というのは言い訳です。
経営陣はデジタルマーケティングを進めたいのだが、一向に前向きに進まない。
他社にも参考になると思うので、あえて実名は伏せて書かせていただきます。
ちなみにこちらの会社の規模は1000名は超えていないが都内本社、立派な中堅上場企業です。
デジタルマーケティングが進まない2大要因
どの会社に行っても、デジタルマーケティングが進まない理由は表面的に2つしかありません。
人がいない。お金がない
この2つです。
では、本当にお金と人がいないのでしょうか?
こちらの会社とお付き合いしていてわかったのですが、業界の展示会に年数回も出展していました。また、会社の若手の中で、「ホームページがやばい」と思っている有志が多数いることがわかりました。
お金と人も、この会社にはある。
要は予算と資源配分の問題なのです。これは経営の責任だと思います。
悲しい現状
こちらの会社を例にとれば、(おそらく日本の中堅企業の大部分に当てはまるかもしれませんが)
デジタルマーケティングの専任担当はおらず、販促担当が兼務しています。
そこですべてのホームページの更新を行っていますが、中堅企業なので、ホームページはいくつもあります。
ホームページはすべて、製品や担当ごとに縦割り。サイト1は、A部署、サイト2はB部署、サイト3はC部署といった具合です。売上責任を各部署がもっているので、各々の部署は、ホームページは二の次で目の前の案件だけに注力せざるをません。かくしてホームページは放置される、というよくある光景です。
しかし、この会社は努力の甲斐あって、ユーザのデータだけは1か所にまとめました。が、データをまとめただけでユーザデータの運用のルールまでが残念ながら決めませんでした。
その結果、リードデータの維持管理はまったくできていません。維持管理されないデータは信用されず、必要なデータがないので、社内からも「データベースがあてにならない」と言われる始末。
これは、大なり小なり、どの会社でもありうるお話です。
一体何が悪いのでしょう?
縦割り組織とデジタルマーケティング
デジタルマーケティングは、Webであれ、データベースであれデータを一か所に統合して平準化して整理して、初めて意味をなします。
ホームページは公開された途端、会社を代表するものとなります。このぺージはA部署が責任、このぺージはB部署が担当だということは、来訪するユーザにとっては関係ありません。
顧客データベースも同じです。社内データは一か所に統合され、共通に利用されて初めて意味を持ちます。A部署、B部署とデータの更新ルールが違う、というのではデータベースは使いものになりません。社内共通のルールが必要になります。
このような問題を解決して、デジタルマーケティングを進めるためには、組織横断の組織が必要で、そのためには社長または経営陣直轄の組織横断のチームがベストだと思います。
縦割り組織はデジタルマーケティングと相性がわるいです。
コンテンツ方針を検討するにも、運用ルールを決定するのにも、社内で共通認識がなくてはなりません。
現状の予算配分にしても然りです。現状のアナログからデジタルへ予算配分を変更しようとすれば、現在の販売促進担当の領域を超えてしまうでしょう。デジタルマーケティングを本気で進めるのであれば、組織横断でのチームで予算配分を変えてゆくのが最も効率的です。
現状把握と目標
チームを作ったら、何をすべきでしょうか。
まずは現状把握です。今自分たちがどこにいるのか、把握することから始まります。
ホームページを何個も作っている会社の場合、目的もバラバラ、本来の意味もバラバラになっています。数字の意味も分かっていないことがあります。
デジタルマーケティングに、これまでいくら予算かけてきたのか、アナログのマーケティングにはどれだけかけてきたのか、その成果はどうだったのか、そもそも数字が正確に把握できているのか、そこからです。
まず、自分たちの会社の地図、基礎数字を知ること。
どの山に登りたいのかという目標は、それからです。
どの山に登りたいのか。
どの製品の売上を、デジタルでどのくらい上げるのか、それが決まれば、それに向かって作戦を立ててゆくことができます。(それほど簡単ではないことが多いですが)
ここではじめて競合他社がどんなホームページを作っているか、自社との比較に意味が出てきます。
などなど書いてきましたが、どの山に登るかも決めず、精密な地図も作らず、「ああしたい、こうしたい」という経営者が多すぎます。経営陣は適切な組織横断のチームを作り、作戦を練る指揮をとっていただきたい。外部リソースを上手く使うのも1つの方法です。
チーム全体で精密な地図をつくれば、見えてくることがあるはずです。
このようなチーム醸成にはある程度の投資は必要だと思うのですが、間違っているでしょうか?