案外使える?MSClarityのAI機能

UI/UXの向上やページの改善点を見つけるのにどうすれば良いのかお悩みの方は多いのではないでしょうか。

UXのデザインの勉強を専門的にしたわけではないし、自分の感覚や提案を裏付けするようなデータ分析や解析をしようと思うと、結構な時間がかかります。

そんな時に頼りになるツールが、MicrosoftのClarity。

ヒートマップツールとして使っておられる方は多いかもしれません。

今日はMS Clarityの中に組み込まれているAIの機能についてご案内します。

このAIツールを使うと、ページの改善点を見つけるのに相当な時間を節約することができました。

実際に使ってみた体験ですので、Clarityのボタンの操作の仕方だけでなく、実際にAIを使う上での注意点もご説明したいと思います。

MicrosoftのClarityのAI提案機能

ClarityのAIによる提案機能はすごく地味なところにあります。

画面で言うとこちらですね。「ヒートマップの要約」というボタンです。

かなり注意してみないと目立たないところです。

使い方

使い方は簡単で、調査したい該当ページで、この「ヒートマップの要約」のボタンをクリックするだけです。

するとそのページについて、ClarityがAIで類推したページの改善点を網羅的にまとめてくれます。

Clarityの方では、ユーザーのマウスの動きまで把握していますので、ページ訪問者の動きから類推できることと、ページのHTML内部の静的に読み取れる情報の2つに分けて表示してくれています。

問題はここからです。

利用上の注意点

AIの提案を鵜呑みにはできません。

正直言ってAIの提案のうち半分は、可もなく不可もなくか、もしくは当然の指摘と言うべきものばかりでした。

しかし残りの半分は、案外意味があるものでした。

人の眼で拾おうとしたらかなり時間がかかったであろうと思う指摘をしてくれたり、自分の気持ちの中では「ここをこう変えたら良いのに」と思ってはいたけれど、その根拠になる数字までは拾えないというようなことを、AIが指摘してくれたこともありました。

つまり、AIが自分の意見を後押ししてくれたわけです。

例えば、こんな提案がありました。

「タブレットとモバイルのユーザーにとっては、このページは魅力的ではないか、見つけにくいか、表示されないかのいずれかの可能性があります。」これは当然の指摘です。というのはこのページはPCユーザーのみにターゲティングした広告ページでした。

意味のある指摘としてはこんな提案がありました。

「〇〇という用語やその原因に関する文章は、ユーザーの注意を引くコンテンツとして有効ですが、デッドクリックが多いことから、ユーザーがもっと詳しい説明や解決策を求めている可能性があります。」

これなどは素晴らしい指摘で、こういう細かい情報を人の目で拾おうとすると、ページをスクロールしてそれぞれのクリック数を全部確認しなければなりません。それをAIが一瞬でやってくれるわけです。

このページに〇〇について補足するコラムを設けたり、別ページで用語説明を追加したりすれば、ページの回遊率が上がります。

ですので、AIの提案は、話半分に疑いつつ読むことをお勧めしたいです。

どの内容が意味のある提案で、どの内容に意味がないのかというところの判断こそがポイントになるのです。

AI機能は進化する

このAI提案がもっと洗練されてくれば、ウェブ解析というお仕事も無くなると思いました。

ただお客様にとっては良いことです。ウェブ解析ツールが、解析と同時にどこがこのページの課題なのかまで、洗い出してくれるわけです。

はさみとAIは使いようだと思います。まだこの「ヒートマップの要約」はβ版です。これからもっと機能は洗練されてくるでしょう。

人間は、マーケティング全体の作戦立案と実行にもっと注力できます。

まとめ

以上MSClarityのAI改善機能が案外使い物になるということを、使ってみた経験からお話ししました。

AIは人間と違って疲れませんので、この「ヒートマップの要約」も何ページあろうが疲れずに全部出力してくれます。

後は人間がそれを読んで、どの提案を採用するべきかの取捨選択をすればよいのです。

これだけでも、上手く使えば、UI/UXの課題を発見するのにかなり時間が節約できます。

ただし、解析ツールが指摘してくれるのは課題や改善すべき点だけです。

Google広告では、既にAIが見出しや広告バナーをデザインしてくれる機能がリリースされています。

しかし見た感じ、AIによる提案は、ヒントやきっかけにはなっても、そのまま使えるようなレベルのものではなさそうです。

どういうデザインにすればいいのか、どういうコンテンツをどうやって訪問者に提示すればいいのかまでは、まだAIが考えません。

そこにこそもっと人間が知恵を使うべきでしょう。