AI時代のコンテンツ制作における注意点

日本でもSGE(Search Generative Experienceの略)ベータ版が公開されました。クリックしてSGEをオンにすると検索エンジンのページの結果のレイアウトが変わります。

自動生成AIを組み込んだ検索エンジンがどのようになるかというものをイメージすることができます。

少し触ってみると、キーワードによって検索結果のページが大きく変わることに気がつきます。

また一目瞭然、オーガニック検索の結果が、画面のかなり下の方に追いやられています。

これまでは、SEO対策で1ページにさえ入ればなんとか流入を確保できてきましたが、これから自社への流入は大丈夫かと不安になられる方も多いと思います。

そんな方向けに、これからのSEO対策やコンテンツ制作について今の段階でわかっているコンテンツ制作の注意点のようなものをまとめてみました。

Googleのエンジニアのブログや、検索エンジン情報専門ブログなどを見てみると、今後どのようなコンテンツが検索エンジンでは価値があるとされ、どのようなコンテンツには価値がないとされるのかという傾向は、おおまかに見えてきます。

このようにしたからと言って絶対にうまくいくという保証はもちろんありません。このSGEというサービスもまだベータ版ですから、今後検索結果ページの表示も変わる可能性はあります。

ですが、大きな方向性とやってはいけないことについて、ここでお話ししたいと思います。

全てインデックスしてくれるという時代は終わった?

この20年程、ブログを作って公開すればほっといてもGoogleが検索エンジンにインデックスしてくれました。このおかげで全く知らないユーザーを自社サイトに呼び込むことができました。

しかしこの20年の常識は今回大きく変わるかもしれません。

なぜならば、自動生成AIで自動化して作成された広告目当てのサイトが、すでにあまりにも多くなってきているからです。

いわゆるGoogleのエンジニアの言うところの「ゴミのコンテンツ」ですが、AIチャットボットを活用して生成された文章によって構成されたWebサイトが、グーグルなどを経由して莫大な広告収入を得ています。

AIを使って1日に1200本以上の記事を生成していたサイトや、架空の執筆者の写真やプロフィールをAIで生成するなど、手の込んだつくりで説得力を持たせたものも存在していたそうです。

メディア研究機関のNewsGuard(ニュースガード)は今年4月からAI生成サイトの追跡を開始しており、この手の質の悪い「信頼性の低いAI生成ニュースWebサイト」は、これまでに13言語で217サイト見つかったと報告しています。

さてここで、いくらGoogleといえども、このようなAIチャットボットを使って爆発的に増えたすべてのサイトをインデックス化するのに十分に合理的な量のリソースを準備するでしょうか?

Googleのグーグルのゲイリー・イリース氏は、検索エンジンはどこかで切り捨てる必要があるというようなことを語っています。つまり何らかの基準を設けて基準に満たさないサイトはインデックスされないという時代が来ているということです。

ではどういったサイトが切り捨てられてどういったサイトがインデックスされるのか。

同氏によれば、「高品質なコンテンツと良い評判」が重要になってくるとのことです。

AI時代の「高い品質コンテンツ」とは?

ではAIチャットボットの時代における「高品質コンテンツ」というのは一体何なんでしょうか。

AIというのは過去の学習からもっともらしい文章を作るのに長けています。

なにしろ過去の膨大なデータを学習しているわけですから、それらしい文章を真似して作るだけであれば、人間はAIには負けてしまいます。

ここからは私の推定を含みますが、高品質コンテンツとは、以下のようなものを指すのかなと思います。

  1. 体験や経験に基づいたコンテンツ
  2. 最新の情報を正確に書いてあるコンテンツ
  3. 他のサイトにはない独自性のあるコンテンツ

1.体験や経験に基づいたコンテンツ

体験や経験に基づいたストーリーや内容は、体験者独自のものです。それは自然に他にはないものになりますので、そういったコンテンツは有用であるとみなされる可能性が高いです。

具体的には、足の甲が高くフィットする靴がなかなか見つからない人がどのように自分に合う靴を見つけたか、自社工場をいかにコストをかけずに処理し環境を改善したか等、書き手独自の体験・経験というものです。

体験を裏付ける動画や画像があればなおよいでしょう。

2.最新の情報を正確に書いてあるコンテンツ

変化が早い業界、技術の進歩の早い業界等では当てはまる可能性があります。

つまり最新の状況がどのようになっていて、表面的には複雑に見えることを正確に解説してくれるようなコンテンツというのは、過去データを学ぶだけのAIが真似しにくいので、有用なコンテンツとみなされると思います。

最新というところがミソで、日本の古代の古墳についてのコンテンツは、既に学習されています。が、どこかの古墳でこんな珍しい発見があったという最新情報はAIは真似できません。もちろん、誰が語っているかという信頼性は要求されます。

3.他のサイトにはない独自性のあるコンテンツ

特定の事柄について深い知識や独自の知見、ノウハウを蓄積したようなコンテンツです。

学者の論文や実験データなどはこれにあたります。権威のあるプレスリリースや発表、企業のIR等もこの類に入ります。

上記1から3は、AIチャットボットが学習しようとしても、素材が少なく苦手な分野のコンテンツと言えると思います。

これだけはやってはいけない、低品質コンテンツとは?

反対にAI時代における「質の悪いコンテンツ」「ゴミコンテンツ」とは、チャットボットを使って自動生成されたコンテンツです。

AIで生成された文章は正確性は担保されていません。今、SEOコンテンツを制作する事業者さんの間で、コンテンツや画像を全て自動生成できる、ということで省力化の動きがありますが、AIで生成された文章を、専門家の中身のチェックなしに公開する、というのことは、まず避けるべきでしょう。

次によく見る「質の悪いコンテンツ」とは、他のサイトの文章をつぎはぎにしてまとめたページで、自分の意見が全く書かれていないようなページです。よくある「まとめサイト」の類です。

Webサイトにはこのようなコンテンツで溢れかえっています。

何かについて調べたら、似たようなタイトルで、全く違ったページが1ページ目にずらっと羅列されるけど、ページを見てみたら、ほぼ全て同じような内容だった、というような経験を、誰もがしていると思います。

リスティング広告 広告表示オプションの検索結果

上記の例は、低品質ではないけれど、AIによって置き換わってしまう可能性のあるコンテンツの例です。正解がある類のコンテンツです。

どのページも事実の羅列ですから、最新の正確なものだけあればよいわけです。

他の人が書いたブログや記事を参考にするのは構いませんし、AIを使って記事を書くこともGoogleは禁止してはいません。

ですが、これからコンテンツ制作をする時に、最低限気をつけなければならないことは、必ず自分のオリジナルの文章や視点といったコンテンツを入れるということです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

私も今後のSEOの変化を、不安を抱えながら見守る一人です。

わずか20年ですが検索エンジンの歴史の中で、今は検索エンジンが大きく変わるタイミングであることは間違いありません。

昔パンダアップデートというアルゴリズムの大変更がありました。私の知り合いの会社はSEO専門会社でしたが、パンダアップデートで潰れてしまいました。

その後ペンギンアップデートというのもありました。この時もSEO専門会社が大量に倒産しています。

今回のAI実装したSEO検索エンジンの変更によって、今回も大量のSEO業者が潰れるような気がします。

SEO対策について、方向性をもう一度考えなければいけない企業様もたくさん出るでしょう。

しかし、この変化はどの会社にも等しく起きていることなので、AI時代に適応していくしかありません。

ご参考になれば幸いです。

◆生成AIとSEOとゴミコンテンツと「基本はインデックスされない時代」【SEO情報まとめ】

◆Google:AIを使用してコンテンツを作成すると、他のサイトからの焼き直しになる