Googleがいよいよ、本格的にCookieの廃止に向けて一歩を踏み出しました。
これまで延期に延期を重ねてきましたが、24年末までにCookieを全廃止するというのはどうも確定の模様です。
では、具体的にCookieが廃止されると自社のデジタルマーケティングにどのような影響が及ぶのでしょうか。
広告費を月に何十万と支払っている大企業には関係あるだろうが、我が社はそれほど広告に費用はかけていない。関係ない話だ、と思っていませんか?
もちろん、Cookie廃止により、DMP(DataManagementPlatform)やアフィリエイトの計測も難しくなります。DMPのツールなどを販売している会社では、経営に影響が出るところもあるでしょう。アフィリエイトの方も影響を大きく受けると思います。
しかし、広告費がそれほど多くなくとも、影響を受けるケースは考えられます。
よく調べてみると、まさに弊社が担当しているお客様のディスプレイ広告で影響が出そうだと判りました。今後対策も考えてゆかなくてはなりません。
今回は比較的少額の広告費の中小企業の方を前提に、どのようにマーケティングに影響を及ぼすのか、対策は何なのかについてお話ししたいと思います。
Cookie情報とは?なぜ廃止されるのか?
そもそもCookieとは
Cookie情報は、インターネットを使っているときに、ウェブサイトがあなたのコンピューターに小さな情報のかけらを保存することです。
Cookieは悪いことばかりではありません。あなたがそのウェブサイトを再訪したとき、より速くページを表示したり、ログイン情報を覚えておいてくれたり、あなたの興味や前回の活動に基づいて内容をカスタマイズしたりするために使われています。
例えば、あなたがオンラインショッピングサイトで買い物をしていて、カートに商品を入れているとします。もしあなたがそのサイトから離れても、戻ってきたときにカートの中身がそのまま残っているのは、Cookieという機能があるからです。Cookieはあなたの興味や行動をサイトが「覚えている」のを助ける役割をしています。
しかし、Cookieはあなたのオンラインでの行動パターンを追跡するためにも使われるため、プライバシーに関する懸念が問題視されるようになりました。
あなたがどのサイトを訪れたかや、どの商品を見たかなどの情報が集められ、広告をパーソナライズするために使われています。

Cookieには「ファーストパーティーCookie」と「サードパーティーCookie」の2つがあり、現時点でCookie規制の対象になっているのは主にサードパーティーCookieです。
Cookie規制の現状
プライバシー保護の高まりを受けて、Appleをはじめとする端末メーカー、GoogleやMicrosoft等のブラウザメーカーも徐々に、Cookieを規制する方向に向かっています。
Apple Safari |
2017年 | Safariに「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」というトラッキング防止機能を実装 |
2020年3月 | サードパーティCookieを完全にブロック | |
Mozilla Firefox |
2022年6月 | プライバシー保護機能「Total Cookie Protection(包括的Cookie保護)」をデフォルトで有効にする |
2021 年 3 月 | すべての広告において今後近い将来に個人を追跡しないことを発表 | |
Google Chorme |
2023 年 | トラッキング用のサードパーティー Cookie のサポート終了を発表 |
2024 年第 3 四半期(7 月) | 段階的に、Google Chrome のサードパーティー Cookie(3rd Party Cookie)を廃止することを発表 |
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2024 年 1〜3 月期 | 自社のインターネット閲覧ソフト(ブラウザー)「クローム」ユーザーの 1% に対してサードパーティー・Cookieを使えなくする方針 徐々に範囲を広げ、同年末までにグローバルで完全に廃止する |
なお、Microsoft Edge では、Appleのように厳格にトラッキング防止機能を提供することはせず、あくまでもユーザの意思を尊重する建前です。
追跡防止機能を既定では「バランスの取れた設定」になっています。ただし、ユーザが望めば「厳密なブロック」を選択することもできます、という立場です。
ただ、いずれにせよ、どのブラウザーも多かれ少なかれCookieを規制する方向に動いていることが判ります。
さて、ここでブラウザのシェアを見てみます。

2020年にサファリのCookieが規制されたとしても、25%の影響でとどまっていました。
日本でのChromeのシェアは、約50%です。今後Chromeからもユーザーの情報が取れなくなるということは、国内のブラウザの75%ではCookieの情報が規制されるということを意味します。
では具体的にどのような影響が出そうなのか見ていきます。
Cookieの廃止によって身近に影響が出るポイント
広告出稿側は、Google広告においてCookieの全廃止によってかなり影響は出そうです。また日常的に使っているGA4においても影響は一部でそうです。
リターゲティング広告が使えなくなる
Cookieの配信によってリターゲティング広告は使えなくなります。
自社サイトを訪れたユーザに対して広告を配信する、という広告メニューです。
もともとリターゲーティング広告も、一定のリスト数がなければ使えない広告メニューなのでそれほどアクセス数が多くないサイトにとっては関係ないかもしれません。
ディスプレイ広告のオーディエンスターゲティングの精度が落ちる
ディスプレイ広告でも、Cookieの廃止によって年齢やデモグラフィック属性、興味の推測、オーディエンスターゲティングができなくなるなど、大きな影響が予想されます。オーディエンスターゲティングメニュー自体がなくなるか、使えるとしても精度は大きく落ちることが予想されます。
またアドネットワークなどサードパーティCookieを活用してユーザーのクラスタリングやターゲティングを行っていたものについても同様の心配があります。
コンバージョンの計測が正確にできなくなる。
Webサイトでのアクセス解析を行うGoogleAnalyticsでのトラッキングはファーストパーティーCookie扱いなので影響は少ないと考えられますが、取得できる情報が制限されていく可能性が高いです。
広告を閲覧した後に、他のサイトを経て別のチャネルでコンバージョンに至ったビュースルーコンバージョンなど詳細な計測ができなくなります。
アトリビューション分析は、そもそも複数のウェブサイトを横断的に分析し、広告の成果を判断する手法ですが、このような広告効果の詳細な分析が難しくなると予想されます。
つまり、ドメインを横断したcookieの利用を禁じることであるため、複数のサイトをまたいだ計測に関係するところは、広告計測の精度が落ちることが多いに考えられます。
ただし、Google、Yahoo、Facebook等といった大規模プラットフォーム内でのCookieの利用は維持されます。つまり、各々のプラットフォーム内部でのユーザ属性を上手く利用することで、これまでと変わらない精密なターゲティングを行うことは可能です。
典型的な例はキーワードによるリスティングの広告ですが、この広告はGoogle内部で完結しているため、影響は受けません。
上記のような状況から、自社で
・ディスプレイ広告
・リマーケティング広告
・アドネットワーク広告
を使っていて広告戦略に影響が出そうな場合は、あらかじめ対策を考える必要があります。
Cookie廃止後に取るべき対策
Cookieが廃止されたとしても、代替技術は出てくるだろうとお考えの方も多いと思います。
現にサードパーティCookieを利用しなくても、ユーザーの行動履歴の分析を行うことは可能です。ただこのような技術は、まだ確立されていなかったり、Cookieよりもさらに悪質なものもあります。
ここでは特定の技術に依存せず、すぐにできる対策をご紹介します。
L/Pの改善
これまではランディングページが少々出来が悪くても広告の精度を高めて流入するユーザーの質の良いユーザーを集めることができました。しかし広告の制度が落ちてくる分だけランディングページ側のコンバージョン率を高める必要があります。
コンテキスト広告(コンテクスチュアル広告)への切り替え
コンバージョンする確率の高い「質の良いユーザー」を集めるためにはやはりターゲティングが肝になります。Cookieを使ったターゲティングは、ユーザの属性に合わせて「人」をトラッキングして広告を配信するタイプのものでした。
これに対し、コンテキスト広告(コンテクスチュアル広告)とは配信する先の「コンテンツを指定する」タイプのターゲティング手法です。
Webページ上にあるコンテンツ(キーワードや画像)をAIが自動分析して文脈にあった関連性の高い広告を配信します。
出稿する広告媒体を厳選する
前項とも関係しますが、人ではなく、場所に対して広告を出すという従来手法で、紙媒体も見直されると予想されます。業界紙等の紙媒体は、特定ユーザを集めているので媒体価値が見直されることでしょう。ウェブ、紙等メディアを問わずどの広告媒体に広告を出すかということを真剣に考える必要があります。
ファーストパーティデータの活用
ファーストパーティデータとは、自社が集めたさまざまなデータのことを指します。たとえば
・自社のウェブサイトやアプリから収集したユーザーデータ
・自社の従業員が展示会等で収集しCRMやSFAなどに蓄積されたユーザーデータ
・自社ユーザーが回答したサーベイデータ
・自社ウェブサイトのユーザー履歴
・自社ECサイトで収集したユーザーの購買履歴
このような個人データは、どこから収集したか明らかなこと、信頼性の高いことなどが求められますが、ファーストパーティデータは最も明確で信頼性の高いデータです。
自社で保有する顧客情報を活用することでリマーケティングに頼らず、既に自社と接点のあるユーザーに広告を配信することが可能です。また、既に自社と接点のあるユーザーと類似する興味・関心を持つユーザー(類似オーディエンス)に向けて広告を配信することも可能です。
ファーストパーティデータに個人情報や個人関連情報が含まれる場合、取得に際しては
・ユーザーから同意を得ること
・ユーザーから情報開示や削除要求があった場合には、すぐに対応すること
・取得した情報は無断で第三者に提供しない。
・第三者に開示する場合には、ユーザーから第三者提供の許可を得る。
上記のような手続きを経て入手した個人情報であれば、各種マーケティングや広告宣伝に活用できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
当社もCookieレス時代と言われても大した影響はないと思っていました。
が、案外身近なディスプレイ広告で影響が出そうだということが分かり対応の必要性を感じています。
しかしGoogleやYahooなどはCookieレス時代に備えて次世代の広告メニューを考えてくるでしょう。
現にGoogleの広告を見ていますと、これまでにあった広告メニューがなくなったりすることも起きています。今後も広告メニューが頻繁に変わっていくと思われます。
逆に今まで広告を使っていなかった会社にとっては、これは大きなチャンスです。
今までの広告出稿管理ノウハウがゼロになるので、新しい土俵でスタートということになれば、新興・スモール・中小企業でも大企業と同じ土俵に立つことになります。
今後1~2年間は、各社がどのような新しい広告メニューを出してくるかについては注視が必要な時期です。
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