Cookie規制の時代におけるGA4とアクセス解析における注意点

お客様から「GA4ではクッキーを使っているんですか」と質問を受けました。

「クッキーレス」というイメージばかりが先行していて、GA4ではクッキーは使っていないと誤解をされているところがありますが、これは誤解で、GA4ではファーストパーティークッキーを使ってアクセス数の計測などを行っています。

その時はそれで話が終わったのですが、最近別の調べ事をしていて衝撃的な事実を発見しました。

GA4で計測するとアクセス数がかなり減っているという記事です。

2024年にはGoogleがサードパーティークッキーを段階的に廃止します。

しかし、GA4ではファーストパーティークッキーを使っているはずなので、アクセス数はそれほど減らないと思っていたので、これはちょっと驚きました。

そこでGA4ではなぜ、アクセス数が減るのかを調べてみました。

なぜそんなことが起きるのかという理屈を理解していただけると思います。

そしてWebの担当者としてどのように対処すべきかという点についても触れたいと思います。

Cookie規制の影響:現在取得できている数値は正確か?

ご存知の通りUAからGA4に昨年以降し、数字がなんとなく上振れたり、下がったりして戸惑っている方も多いと思います。

そもそもデータ取得の仕様がセッションという単位からイベント単位に変わったため、数字が異なるのも無理はありません。

しかし、GA4の仕様変更という点とは別に、Cookieへの規制に関して言えば、現在すでにGA4で取得できているデータには限界があります。

GA4で取得できないデータ:ブラウザ側のCookie規制

1つめはブラウザ側のCookie規制が進んでいることが原因です。

これはGA4の仕様とは関係ありません。世の中全体がCookie等の個人を特定できる情報に敏感になった結果です。

ADEbisホームぺージより掲載

すでにAppleのSafariは2017年の段階で、「ITP(IntelligentTrackingPrevention)」と呼ばれるトラッキング防止機能を実装済です。規制が厳格なSafariを使用する場合、ファーストパーティークッキーは最大7日しか保持できません。

そしてSafariでは2022年9月以降はデフォルトでサードパーティークッキーはブロックされています。

ですから、現在でもすでにiPhoneやiPadユーザーの数値は正確ではありません。iOSのユーザー数は実際の数よりも大きく減っています。

iOSの利用者数は、日本では約1/4を占めています。B2Bの場合は業務でiOSを使っている企業数が少ないため、大きな課題になりませんでした。しかしB2Cではその影響はすでにかなり大きな問題になっています。

Google広告での規制

Google広告でもユーザのトラッキングを規制しています。GA4のコンバージョンイベントをGoogle広告に送信してレポートや入札に使用する時にも、過去のクリックをCVに紐づけられるのはデフォルトでは30日間、最大では90日間です。

そのため、リードタイムの長い製品の場合、ユーザの広告経由の初回訪問から、CVまでは紐づけはできません。また90日を過ぎて同じユーザーが再訪しても、新規ユーザーの訪問として計測されてしまいユーザー数が重複して計測されてしまいます。

[参考資料]

GA4でもcookieの利用は継続|GA4におけるcookieの種類や注意点を解説

GA4はCookieを使用している?Cookieレス対策の必要性や課題を解説

ですので、上記のように、Cookieに関する規制が強化されている中で、現在でもGA4で取得している数字は、すでに限界がある状態になっています。ある程度割り引いて考えるとか、どのような制限がある数字なのかを知っておく必要があります。

Cookieに関して、GA4でアクセス数が大きく減るもう1つの原因

前章では、Cookieに関して、ブラウザの仕様の変更、Google広告等、GA4とは関係ない外部要因のものについて見てみました。

もう1つGA4でアクセス数を減らす大きな要因があります。それがCookie利用に関するサイト訪問者からの同意取得です。

Cookie利用のパーミッションでアクセス数が減る理由

Cookie利用の同意取得とは、サイトの来訪者に対してCookieの利用を許可していただくために、ポップアップ等でよく表示されるものです。

これもいろいろなタイプがあります。WordPress等ではプラグインで実装することができます。クッキーの同意を得る専門のツールもあります。

「このサイトを使い続けることによって、Cookie利用に同意したものと見做します」というのは消極的な同意取得で、かつては「みなし同意」と呼ばれていました。

これに対して2022年の個人情報保護法の改正以降は、サイト訪問者に「許可」というボタンで選択させる形式が推奨されています。

何が異なるかと言うと、みなし同意でポップアップ表示のみを表示する場合は、ユーザーの同意を得る前にクッキー情報を取得していたのに対して、2022年の個人情報保護法では、ユーザーの「許可」を得てからクッキー情報を取得してください、というデータの取得のタイミングが異なっています。

では、このようなクッキーの同意ポップアップを実装した後、どの程度取得できるデータに影響が出るのか。

海外の事例ですが、約30パーセントのデータが失われた企業もあれば、50パーセント、60パーセントとさらに多くのデータが失われた企業もあるとの報告があります。

9 reasons why you have missing data in GoogleAnalytics4

Cookieの同意機能を導入したところ、GA4のアクセス数が70%も激減したなどの話も聞こえてくるようになりました。

クッキーの同意ポップアップでアクセス数が減る理由

クッキーの同意ポップアップは同意管理プラットフォーム(Consent Mode Platform CMSとも呼ばれます)から動的にサイト訪問者に表示されます。

このプラットフォームはユーザの選択をCookieバナーやウィジェットから受信し、Cookieの作成または読み取りを行うアナリティクス、Google広告、第三者タグの動作を動的に調整します。

Googleヘルプより抜粋

ここで、サイト訪問者の同意を得られれば、問題ないですが、同意が得られない場合はどうなるか。

同意管理プラットフォーム側のCookie拒否時のツール設定に依存しますが、例えば、「GA4のCookieをブロックする」とした場合、Cookieは保存されません。GA4はCookieが発行できないと計測をしないのでアクセスが記録されません。

Cookie拒否時の設定として、「JavaScriptでGA4の同意モードを有効化する」にした場合、ユーザー情報をGA4には送らず特別なpingアクセスを記録します。ユーザー情報を保存していないので、レポートには機械学習で推測した値を表示します。

つまり、クッキーの同意ポップアップを実装すると、ほぼ間違いなく、アクセス数は大きく減るというマイナスの影響を受けます。

真面目に個人情報保護、cookie規制の順守をすればするほど顧客の情報が収集できなくなる、という事態に直面します。

自社サイトで、本当にクッキー同意のポップアップの設置が必要なのかどうかについては、慎重に判断しましょう。

自社サイトが、GDPRなどEUの法規制が適用されるか、もしくは日本の個人情報保護法のみで良いのかという法規制の問題が一つ、2つ目は個人情報取得の目的でクッキー情報を付き合わせて得た個人情報を第三者提供するかどうかという2つの点がポイントです。

自分がサイトを訪問する時のことを想像すれば、同意拒否が増えることは容易に納得できます。

サイト訪問者の意思ですから尊重すべきなのですが、実に7割方のサイト訪問者がCookie利用を拒否する、という数字もあります。

[参考資料]

Google同意モードを利用してGA4の計測を行うとどうなるか検証してみた

70%のユーザーが拒否する時代。「Cookie同意」のアクセス解析への影響を考える

Cookie制限によるGA4でアクセス数減少を回避する方法

ではCookie利用していて広告配信上、どうしてもビジネス上ユーザの同意取得が必須だとすればどうすればよいのか。現段階で考えられる方法は2つです。

1)サーバーサイドGTM

2)同意モードの活用

サーバーサイドGTM

これはとてもスマートな仕組みです。従来はGTMのタグを設置して、ブラウザ経由でどんな広告のタグも直接ブラウザから送信していました。

しかし、サードパーティークッキーの送信も受信もできなくなり、ファーストパーティークッキーのみしか受け入れられないわけです。

そこで、専用のサーバを立て、サブドメインを設定して、サードパーティクッキーをファーストパーティcookieとして扱えるようにします。

そして、トラッキングした情報は、サーバ側でまとめて広告プラットフォームに送信します。

こうすれば、サイト訪問者から見ればファーストパーティクッキーしか受け取っていないことになります。しかし、取得されたクッキー情報は、まとめて別の広告プラットフォームに送信されているわけです。クッキー情報そのものは、個人情報ではないとはいえ、法規制から見れば、ややトリッキーとも言えるやり方です。

メリットとしては、Cookie情報をまとめて送信することが出来ればトラッキング情報を各広告プラットフォームに個別でブラウザから送る必要がなくなるため、ページのパフォーマンスが上がります。

デメリットとしては、専用サーバーを設置しなければならないため、相当な費用と運用のためのコストがかかります。

同意モードの活用

サーバーサイドGTM以外にGoogleはGTMに同意モードというものを準備しています。

この同意モードは、Googleアナリティクス、Google広告で動作します。

ユーザーの同意が得られた場合のみクッキーの値を渡します。逆にユーザーの同意が得られない場合にはCookieの読み取りや書き込みは行われません。代わりにCookieの値のないアクションがあったことを示すシグナル(ping)を送信して、ユーザーのアクションの有無やユーザーのステータスを伝達します。

[参考資料]

ウェブサイトとモバイルアプリの同意モード

タグ マネージャーでの同意モードのサポート

こういった仕掛けを行うプラットフォームのツールを同意モードプラットフォーム(CMS)と言い、GoogleはそのAPIを提供しています。

またGoogleが推奨しているCMSの一覧もこちらに提供されています。

メリットとしてはサーバーサイドGTMよりも費用はかからないことです。

デメリットとしては実装が非常に難しいことです。GA4やGTM等マーケティングの担当者でもできるレベルを超えています。スクリプトが書けてサーバーの知識を持ったエンジニアでないと実装は難しいでしょう。

まとめ

いかがでしょうか。

クッキーという仕組みが利用できなくなりつつある昨今、GA4でどこまで数値が取れるのか、取れないのはなぜか、そしてその対処法についてご説明してきました。

クッキー規制の根本はEUのGDPRの規制やCCPA(カリフォルニア州 消費者プライバシー法)等、技術の問題というよりも法規制や社会環境の変化の問題で、そう簡単に規制が緩くなるとは考えられません。

そしてこれまでAnalyticsの機能の変遷等やウェブの業界を見ていると、1つの技術が制限されても、便利な拡張機能や別の代替サービスが現れたりすることは、頻繁にありました。

GA4に代わって、自社のファーストパーティクッキーを取得し、個人情報を外部に出さずにデータ取得できるツールがあるなら、その数字を使って今後の戦略に活かせばよいという話になります。

大げさですが、全世界のサイト運営をしている人が困る問題なので、これはいずれもっと合理的なソリューションが出てくると思います。

法規制上、同意ポップアップを表示する必要がない会社は、現状維持しつつ、GA4への依存を減らすことを考え始めた方がよいかと思います。

Cookieという便利な仕組みが使えなくなりつつある今、自社で本当に必要なデータは何か、そのデータをどこから取得すればよいのか、各社で考える時期にきていると思います。。