生成AIでSEOは変革期にあると言われています。
では何がどう変わって、マーケターはどのような心の準備をすれば良いのでしょうか。
この大きな問題についてChatGPT、Perplexity、CoPilotの3つの生成AIにに訊ねてみました。
3つの生成AIの答えは案外バラバラでした。
しかし、複数のAIに共通している回答はあるので、私の個人的なAI使用の経験も織り交ぜながら、現段階でのまとめを書いてみたいと思います。
ちなみに私個人は、現在のGoogleの検索エンジンが日本で使われた頃からネット業界で働いていた古株で、SEOのアルゴリズムの変遷を肌身に感じてきた者です。
- AIが共通して言っていること。
- 生成AIがSEOに与える影響は甚大
- 生成AIによる検索と従来型の検索との違い
- クエリによって異なる生成AIのマイナス影響
- 検索のクエリタイプ
- 影響を受けやすいクエリ
- 生成AIでSEOコンテンツ制作は楽になるのか?
- SEOツールによる弊害
- まとめ
AIが共通して言っていること。
3つの生成AIに同じ質問をしてみました。「生成AIが自然文検索やSEOに与える影響を詳しく教えてください」
生成AIがSEOに与える影響は甚大
どの生成AIも、SEOに与える影響はとても大きいという回答でした。
3つのAIが共通して言っていることはおおむね以下のとおりです。
1)コンテンツ作成の効率化
AIを使ったライティングツールが進化するおかげで、SEO向けのコンテンツ作成が大幅に効率化されます。キーワードの適切な配置や、ユーザーの興味を引く自然な文章が簡単に書けるようになります。
これはSEO対策を行うサイト運営者にとっては有難い話です。
2)ゼロクリックの増加
AIから回答が帰ってくるのでウェブサイトに、アクセスしなくとも目的の情報が得られるようになります。検索結果ページに表示されるけれどもクリックが発生しない「ゼロクリック」という状態と同じです。これにより、ウェブサイトのへの流入が減少する可能性があります。
ユーザーにとっては便利である反面、サイト運営者にとっては厳しい状態です。
生成AIによる検索と従来型の検索との違い
なぜこのような変化が起きるのでしょうか。今更ですが、従来の検索エンジンと生成AIによる検索の違いをおさらいします。
1)クエリの長文化・会話型検索の増加
ユーザーが「短いキーワード」の連続ではなく、「会話のような文章」で検索するようになります。
これまでは、「東京駅 おすすめ 待ち合わせ場所」と自分で検索キーワードを工夫して考えなくてはなりませんでした。
しかし、会話型検索では「親戚が10年ぶりに都内に出てくるので、東京駅でおすすめの待ち合わせ場所を教えてください。」のような形で、最適な待ち合わせ場所を探すことができるようになります。
2)動的な回答生成
生成AIは質問のコンテキストを読み取り、ユーザーが求める情報を動的に生成して回答します。動的にという意味はユーザーの検索に対して一つ一つ検索結果を生成して表示をするということです。
「親戚が10年ぶりに都内に出てくるので、東京駅でおすすめの待ち合わせ場所を教えてください。」というAI検索の結果に対して、「足腰が弱っているので座れる場所があるところ」「雨が降っても傘をささなくても良い場所」等、条件を追加して絞り込むことができます。
会話のやり取りの中で、自分が求めている情報に早くたどり着けるわけです。
クエリによって異なる生成AIのマイナス影響
ここから先は私の個人的意見ですが、似たような意見を持っておられる方もブログでいくつか見られます。
生成AIの影響によって、自社サイトへの流入が減るというリスクが懸念されているわけですが、これはクエリによってかなり変わってくると思います。
検索のクエリタイプ
ご存知のように検索のクエリーは検索の目的(検索意図)に基づいていくつかのグループに分類されます。
検索というサービスが始まって間もない2002年当時IBMリサーチの検索研究者であったアンドレイ・ブローダー氏(AndreiBroder 後にYahoo!フェロー兼副社長、Googleに科学者として入社)が、「A taxonomy of web search」という研究レポートのなかでは、検索クエリを下記の3つに分類しています。
インフォメ―ショナルクエリ (情報型) | 情報を探す | 「沖縄 観光スポット おすすめ」 |
ナビゲーショナルクエリ (案内型) | 特定のウェブページへの移動 | 「e-Tax」「Amazon」 |
トランザクションクエリ (取引型) | 購買や予約や問い合わせなどの取引 | 「レディース ジャケット 通販」 |
これを発展させて、Googleはクエリを2015年に以下の4つのクエリータイプに整理しています。
知りたい(Knowクエリ) | 情報を探す | 「水菜 サラダ レシピ」 |
行きたい(Goクエリ) | 特定のウェブページへの移動 | 「Yahoo!ニュース」 |
やりたい(Doクエリ) | 特定の行動をしたい | 「粗大ごみ 処分」 |
買いたい(Buyクエリ) | モノ、商品を買いたい | 「デジカメ 2万円台」 |
上記2つとも、基本的には似通った考え方です。
が、2002年と2015年では、スマホという端末からの検索が増えたという点で、ユーザが「検索をする」環境やタイミングは大きく異なっています。
今後は、スマホやスマートホーム経由の音声検索が増加することよって、このような検索意図の分類も変わってくる可能性はあります。
影響を受けやすいクエリ
では、これらのクエリの中で、生成系AIによるインパクトが大きいクエリはどれでしょうか?
インフォメーショナル・クエリ、Knowクエリーなど、情報を探すタイプのクエリです。
具体的には「~する方法」とか「~とは」等の「How-to系」、「関ケ原の戦いはいつか?」のような「誰に訊ねても回答が同じ事実」は生系AIで置き換えられてしまいます。
このようなクエリの場合、ユーザーはサイトを訪問することなく自分が知りたい情報がわかるので、あえて時間を使っていくつものサイトを訪問して調べる回数は減るでしょう。
逆に生成AIの影響がそれほどないだろうと思われるクエリは、一部のナビゲーショナルクエリ、Doクエリだと思います。
「〇〇株式会社」というクエリはその企業の採用について知りたいのかもしれません。「ソフトウェア ダウンロード」「チケット払い戻し」という類のクエリは、目的を達成するために、そのサイトを訪問しなければなりません。
つまり、生成AIが経由であろうと従来型の検索エンジンであろうと、利用者の意図が最初から訪問目的だったり、やりたいことが決まっていて、その目的を達成するサイトを探している場合は、流入が減る確率は低いと考えられます。
ですから、サイトへの集客という点から考えると、特定のクエリーについては生成AIは脅威にはなるでしょうが、そうでないケースもあるのではないかと思います。
ただ厄介なことインフォメーショナルクエリは検索キーワードの中でかなり大きな割合を占めています。
正確な統計数字はありませんが、一説には世の中の検索キーワードの7~8割は情報を探すためのキーワードであるという人もいます。情報提供を目的としているサイトは実際に多く、そういったサイトは大なり小なり影響を受けるのではないかと思います。
生成AIでSEOコンテンツ制作は楽になるのか?
もう一つ疑問なのは、多くの方が生成AIを使えばコンテンツ制作は楽になると言い、そのためのプロンプトを多数公開しています。が、それは果たしていつまで続くでしょうか。
SEOツールによる弊害
多くのSEOツールがAIを導入しており、上位の記事のタイトルや見出しを参考にして、記事構成や、見出し案、コンテンツの案までアイデアを出してくれます。
こうやって生成AIが作成した記事が世の中に出回ると、結果的に類似コンテンツが量産されることになります。
これを回答を作る検索サービス側から見た場合、類似度の高いコンテンツは、あまり参考になりません。むしろ信頼性が高く、類似度が低いオリジナルのコンテンツを基づいて、生成AIは回答をつくりたいでしょう。
そう考えると、生成AIで作成できる記事というのは、自ずから限界が見えている気がします。
SEO対策が生成AIによって楽になるというのは、今までのSEOアルゴリズムを前提にしたら、という話であって、今後のAIによる検索では、あまり通用しなくなるのではないかと思います。
Googleが何度も言っているように、E-E-A-Tつまり「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trust、もしくはTrustworthiness(信頼性)」に基づいて、ユーザのためになるコンテンツを作る必要があります。ですから、コンテンツ制作の基本は、今までとあまり変わっていません。
経験に基づいた専門性の高いオリジナリティの高い記事が評価されるわけですが、100%オリジナルで独自性のあるコンテンツなど書ける人はなかなかいません。むしろコンテンツ制作の難易度は上がっているような気がします。
まとめ
情報提供を行って、インフォメーショナルクエリーでホームページへの流入を獲得しているサイトは多いと思います。情報系のキーワードで集客が難しいとなると、今後はどんなサイトを作ってゆけば良いのでしょうか。
確実な施策はありませんが、AIが苦手なことをやるしかないと思います。
具体的には、AIが苦手な最新情報を集める、オンラインとの連携を考える等です。
展示会、イベントなどのリアル施策が重要になってくるでしょう。リアルイベントは、SEOや生成系AI検索にとっても信頼性向上の意味でプラスに働きます。オンラインとの相乗効果は、これからは必須になると思います。
幸いなことに、生成AIによる検索によって、正確なキーワードを使わなくても検索ができるようになります。
「ケンタッキーフライドチキンの前に立っている白いスーツを着たおじさん」といえば生成AIが探してくれるようになるでしょう。心の中に引っかかること、何かあった時に思い出してもらえるような会社や製品のブランディングが、これからますます重要になると思います。
[参考資料]