ホームページも制作してから4~5年も経つと、周囲から「そろそろリニューアルしては?」と言われることも多くなると思います。
ホームページのリニューアルはいつ、どんなタイミングで行えばよいのか。これはウェブ担当や企画担当の経営陣の悩みの種ですが、いずれにしても避けて通れないのが、競合調査です。
では、競合調査さえやっておけば、十分と言えるのでしょうか?
B2Bでブランド戦略調査を長年やっているランキング調査がありますが、真面目に調査をされているのにあまり知られていません。
リニューアルという大きな変更の際には、企業規模の大小にかかわらず、おおいに参考になる情報です。
サイトリニューアル時の外注業者に対して、ちゃんとした指示を出すためにも、こういったサイトのことを知っていると役立つ情報だと思います。
B2Bサイトにおけるホームページの位置づけ
まずホームページのリニューアルの意義についてですが、BtoBビジネスにおけるウェブサイトの役割はかなり重要になってきています。
日本のデータですが、外部からの発注権限に関わる人の実に56.8%が、仕事やサービスの情報源として企業のホームページを参考にすると回答しています。営業マンや技術担当の説明は36.3%で、営業マンの説明よりも、自分で調べたホームページの情報を信頼しているということです。

[トライベック・ブランド戦略研究所 調査]
また、やや古い2012年のデータではありますが、BtoBで仕入れを担当するユーザーは、営業マンに会う前に意思決定の57%を固めているという数字があります。
また、Webサイトの売上貢献度を示す「サイト効果」はBtoBサイトがBtoCサイトを大きく上回ります。

[トライベック・ブランド戦略研究所 調査]
BtoCの場合、広告やAmazon等の大規模ECサイトの出店など自社サイト以外のチャネルが多数あリ、自社サイトはチャネルの1つに過ぎない位置づけです。
しかしBtoBの場合、大規模モールのようなチャネルが少なく、業界毎に取引相手もある程度決められており、自社のサイトでブランディングからリード獲得まで全ての役割を果たさなくてはならないため、売上の貢献度という意味でもBtoCのサイトに比べて果たすべき重要性は増しています。
ですので、BtoBの場合、自社のホームページに投資をするということは経営上、重要な意味があることをまず認識していただければと思います。
自社のホームページリニューアルの前にやるべきこと
大前提として、自社の企業ホームページをリニューアルする前には、どんな顧客をターゲットにして、どんな目的のサイトなのか、ということを明確にする必要があります。
そして、その際に、自社のポジショニングと共に、他サイトの競合調査もされると思います。
これは、自社内で行う会社もあるでしょうし、外部委託してリニューアル前の提案の一環として、調査をする会社もあると思います。調査する範囲も、SEO対策としてのキーワードの流入状況から、UI/UXのようなユーザー体験、デザインといろんな視点があろうかと思います。
さて、ここで大事なのはどんな会社のホームページを調査するかということです。
通常、相見積を取られてぶつかる競合企業や地域商圏で売上がトップの会社のホームページを調査されると思います。
しかし企業規模がかなり異なっていても、同じ業界でも最も評判の良いサイトを参考にしてみるというのも一つの手ではないでしょうか。
BtoBサイトだけを対象に、業界別に毎年ランキングしている調査があります。
トライベックブランドストラテジー研究所が行っているBtoBランキング調査です。
BtoBランキング調査|トライベックブランドストラテジー研究所
このランキング調査は毎年行われています。
最近、2024年度版がリリースされました。それがこちらです。
このBtoBサイトランキングは歴史が古く、なんと2006年から毎年公開されています。
2006年当時のランキングベストを見るとかなり入れ替わっていますが、今でも変わらず上位に入ってる会社もあります。
ただ2010年頃から総合ランキングでベスト3があまり変わってないんですね。
いささか寂しいことです。
BtoBランキング調査|調査のやり方
調査対象は計測機器から物流までの大手企業の197サイトが対象になっています。調査対象は毎年少しずつ入れ替えがあります。今年から、ヤマト運輸をはじめとした物流の大手が追加されました。
2024年の調査対象リストはこちらです。
アンケートの回答者もあらかじめスクリーニングを行い、特定のカテゴリーについて外部からの製品選定に何らかの権限を持つユーザーを対象としています。
これらの回答者に対して、インターネットでアンケートを約2週間かけて行います。
2024年度は有効回答数7700ユーザ、1つのカテゴリーについて400人から500人という大規模なアンケート調査です。

[トライベック・ブランド戦略研究所 説明動画より抜粋]
製品選定について意思決定に関わる層ということで、回答者の60%は男性で、50代以上が約50%です。
企業規模で言うと100名以下の会社が46%、従業員数1000人以上の方が25%と中堅から大企業まで幅広い企業が参加していると思われます。
このようにあらかじめスクリーニングを行った回答者に対し、調査対象のサイトを見てもらった上で、利用したことがあるユーザーか、利用したことがない非ユーザーかに分け、アンケートの項目を変えて回答を収集します。
サイトのランキングがどのように決まるか
サイトのランキングがどのように決まるかというとサイトへのアクセス率とアクセスした方のニーズ充足率で決まると定義されています。
また、売上貢献度については、サイト利用率とサイト関与率で決まると定義されています。

[トライベック・ブランド戦略研究所 説明動画より抜粋]
サイトへのアクセス率、そこで目的が達成できたかというニーズ従属率は、イエスまたはノーで回答できるので数値化しやすいと思います。
しかし売上の貢献度というのは、調査を行った時点でのタイミングによって、回答者の回答がかなり変わると思いますし、売上高までは追い切れていないので、正確には把握はしづらいのではないかと思います。
業種別ランキング調査結果
全業種横断で見た総合結果はこちらです。
調査対象197社のうちのトップ10がこちらで分かります。
そうは言っても自社と関係のあるもしくは類似性の高い業種を参考にしたい方向けに
業種毎の一覧はこちらです。
ここから参考にしたい業種の箇所をクリックするとそれぞれの業種でのランキングを見ることができます。
数字をどう見るか
BtoBサイトスコアは「アクセス率×ニーズ充足率」によって算出されます。ですから自社と取引のあるお客様が全てアクセスしてくれていて、そこでニーズが充足できたユーザーが半分いた場合、サイトスコアは50%になります。
既存の顧客が中心のホームページで、かつその既存顧客が使いやすくなっていればサイトスコアは上がりやすくなるという傾向はあると思います。
逆に、新規の顧客を集める力を持っているホームページであったとしても、その新規顧客のニーズを満たすことができなければサイトスコアは低くなってしまいます。
ですから、一概にサイトスコアの高低だけで、そのサイトのビジネスへの貢献度を言い切れないところはあります。
しかし、回答者の特質や偏り、サイトスコアの決まり方等を理解した上で各業種のトップに上がっているサイトを見ると、色々な発見があります。
参考にすべきポイント
サイトのランキングの高低や数字は別として、業界別でトップ10に入っているホームページでは、どのようなサービスをユーザーに提供しているのかということは、もっと注目されて良いポイントだと思います。
法人の場合、会員システムを導入しているサイトが多いです。同じ業界であっても実際にIDを取得してログインしてみない限り、その法人がどういったきめ細かなサービスをやってくれているかというのは分かりません。
会員に対して、どのような体験をさせているか、会員と非会員ではどのような差があるのかということは注目すべきポイントだと思います。
例えば、物流の代表的企業であるヤマト運輸等は、自社の輸送・配送サービスの中に、ホームページでのサービス提供を既にしっかりと組み込んでいます。
逆にキーエンスという商社のサイトになると、カタログダウンロードを快適にしてもらうため、ダブルオプトインをユーザーに強制せず、ユーザー登録をしたら一度メールボックスに戻ってクリックすることなく、そのままカタログのダウンロードに進めるようになっています。
ユーザー登録からログインという流れで大きく離脱を呼んでしまうポイントなのでそこで少しでも来訪者が楽にカタログをダウンロードできるような工夫という言えるでしょう。
しかし会員になっても、カタログをダウンロードすること以外特別なサービスが提供されているわけではありません。
このように、サイトの業種や業態によってホームページの在り方はかなり変わっています。自社が参考にすべき会社がランクインしていたら、見てみると興味深いと思います。
まとめ
トライベック・ブランド戦略研究所のブランド調査に登場する会社は、ほぼ東証プライム上場企業か、または大企業ばかりであり、自社の規模とはかけ離れているとお考えの方も多いと思います。
また商圏も全く違うため、全国を相手にしているこういった大企業サイトはあまり参考にならないとお考えかもしれません。
しかし大きなB2Bサイトは、商材が多い企業ばかりです。膨大な情報をどのように整理しているか、検索によるナビゲーションをどのようにしているか、会員制でどういったサービスを提供しているのかなど参考にすべきところは多いと思います。
せっかくリニューアルという機会があるのでしたら、近隣商圏の競合だけでなく、こういった業界トップの会社のサイトを見てみると参考になるのではないでしょうか。
同じ業界の方であれば、大企業でもこれだけのサービスしか提供できていないという感想を持たれる方もいるかもしれません。
ホームページのリニューアルは、何をどこまでやるか、とかく迷いがちですが、ベンチマークの一つとして参考になると思います。
[参考資料]トライベック・ブランド戦略研究所
https://brand.tribeck.jp/research_service/websitevalue/bb
https://brand.tribeck.jp/research_service/websitevalue/bb/bb2024/outline.html