生成AIでアクセスが激減?B2B企業がこれから転換すべきコンテンツ戦略

生成AIの登場によって、ウェブサイトのアクセス数が減少しているという現象があります。もしあなたがB2B企業のウェブ担当者やマーケティング責任者であれば、この現象を肌で感じているのではないでしょうか。

生成AIという新しいテクノロジーが登場したのだから、アクセス数の減少は仕方ないこととお考えかもしれません。

しかし果たしてアクセス数の減少は一般的なことなのでしょうか。

いくつかのウェブサイトを確認していますが、アクセス数の減少どころか増えているサイトもあります。また減少幅はサイトによって異なります。

生成AIについてはさまざまな調査データが公表され始めています。しかし、それぞれの調査は前提が異なり、どの調査が信用できるのかというのはよくわかりません。

生成AIによって検索機能が大きく変わりつつあるのは確かです。ウェブサイトのコンテンツのあり方が問われている大転換期だと思います。

この記事では、現時点で公開されている各種調査データやGoogleの公開データを基に、AI検索でどのような変化が起きているかを調べ、BtoB企業がどのようにコンテンツ戦略を転換すればいいのかについて考察しました。

目次
  1. AI検索によって、ウェブサイトへのトラフィックはどのように変化したか?
    • AI時代のマーケティング常識の崩壊
    • B2B企業の4割超がアクセス減少を実感
  2. AI検索によってユーザーの購買行動はどのように変化したか
    • 「ふるい」の役割を果たす生成AIo
    • 購買検討の後押しと独自のコンテンツへの渇望
    • ユーザーは「独自性」と「信頼性」を求める
  3. AI検索は、ウェブサイトのアクセス量と質の変化をどう引き起こしたか?
    • アクセス量の変化(ボリューム)
    • アクセス質の変化(クオリティ)
    • まとめ:「訪問数」の意味が変質
  4. 流入の減ったB2B企業が取るべき戦略
    • AI検索への戦略転換
    • まとめ:SEOからAEOへ
  5. まとめ:AI検索は「危機」ではなく「機会」である

AI検索によって、ウェブサイトへのトラフィックはどのように変化したか

ChatGPTやGoogleのAI機能(AIOverview、AIMode)は本格的な普及期に入りつつあります。

トラフィックの減少は単なる一過性のトレンドではなく、ビジネスの生命線であるリード獲得や商談機会の縮小に直結するリスクがあり、B2B企業には直接大きな影響を与えています。

AI時代のマーケティング常識の崩壊

従来のSEO(検索エンジン最適化)は、ユーザーが検索結果をクリックし、ウェブサイトに流入することを前提としていました。しかし、AI検索は、ユーザーの質問に対する要約文(AI Overviewなど)を検索結果ページに直接表示し、検索を介さずにAIが直接回答を提示します。

この変化により、コンテンツやLP(ランディングページ)への流入が激減する「ゼロクリック問題」が広告業界やウェブメディアの運営会社に広がっています。

日本国内の調査では、Google検索を通じたウェブサイトへの訪問数が過去2年間で33%減少し、検索結果からリンク先を訪問した確率も8ポイント下がったことが報告されています。(日本経済新聞:調査会社ヴァリューズ(東京・港)が国内250万人を対象にパソコンやスマートフォン上の利用動向を分析した結果)

これはAIによる要約文が表示され、外部サイトを訪問しなくても欲しい情報が得られやすくなった影響とみられます。

B2B企業の4割超がアクセス減少を実感

このアクセス構造の変化は、B2Bビジネスにおいても深刻な影響をもたらしています。

全国のB2Bビジネスに携わる会社員や経営者を対象とした調査では、531名が回答しました。勤務先の企業サイトのアクセス(PV・セッション)がこの1年でどう変化したかという問いに対し、「大きく減った・やや減った」の合計が41.8%にのぼり、「増えた」(22.0%)を大きく上回りました。このデータは、B2B業界全体として減少傾向にあることを示しています。

特にIT・通信業種では、減少傾向が顕著であり、「減った」の合計が52.2%と最も高く、デジタル商材における検索構造の変化が如実に表れています。(株式会社クリエイティブバンク:「AI時代における企業サイトのアクセス動向と対策」に関する調査

出典:[株式会社クリエイティブバンク]:「AI時代における企業サイトのアクセス動向と対策」に関する調査

アクセス減少の主な要因としては、「ChatGPTなど生成AIの利用が広がった」(52.7%)ことが最多に挙げられており、さらに「SNSや動画など検索以外の情報源が増えた」(46.4%)ことも高く、情報取得方法の分散が進んでいることがわかります。

出典:同上

そして何よりも重要なのは、このトラフィック数の減少が、リード獲得や商談機会にどの程度影響しているかという問いに対し、「大きく影響している・やや影響している」と回答した企業が合計で94.5%にのぼった点です。

この現実に直面し、B2Bマーケターは「ユーザーとの接点をどう再構築すべきか」という喫緊の課題に直面しています。しかもこの問題は、単なるウェブ指標の変化にとどまらない、事業経営上の課題になっています。

AI検索によってユーザーの購買行動はどのように変化したか

では生成AIによってユーザー側の行動は、どのように変化したのでしょうか。

結論から言えば、ユーザーは生成AIを賢く使いこなそうとしています。

生成AIの普及で、ユーザーの購買行動における情報収集の初期段階を、AIが担う方法へ変化しています。その結果、企業サイトまで到達するユーザーは、単なる情報収集者ではなく、商品やサービスへの理解が深く、購買意欲が極めて高い「質の高い顧客」へと変貌しています。

生成AIの果たす役割がこれほど重要になってきているのは、消費者の購買行動の変化を加速させているからです。

Googleが2020年に定義したMessy Middleという概念があります。これは従来型の直線的な購買ファネルとは異なり、人々は、「探索」と「評価」という2つのモードをループのように行きつ戻りつしながら、購入を決定するまでこのサイクルを必要な回数だけ繰り返すというものです。

出典:How people decide what to buy lies in the “Messy Middle” of the purchase journey

具体的に言えば、あるユーザーがSNSで新しいビジネスサービスを知ったとします(Triggers)。
次に、そのユーザーは、ツール名をGoogleで検索し、公式サイトの機能一覧を確認します。(Exploration)さらにXや他の比較サイトでサービスの評判を検索し、利用者のリアルな声を探します(Exploration)。その後、IT系ニュースサイトで、競合製品との比較記事やレビューを読み、サービスの候補を2~3製品に絞りこみます(Evaluation)。その後、価格やサポート面での違いを調べるために、再度公式サイトを訪問し(Exploration)シミュレーションを行い妥当性を確認し(Evaluation)最終的に無料トライアルに申し込む(Experience)といった具合です。

「ふるい」の役割を果たす生成AI

このようなMessy Middle型の意思決定プロセスにおいて、生成AIは、情報収集と検討のフェーズで大きく利用者の負荷を下げることに貢献します。

1.購買プロセスにおける生成AIの影響力の増大

ユーザーはAI検索機能(AI OverviewsやAI Mode)によって、「これまで尋ねられなかったような、より長く複雑な新しい質問」で検索できるようになりました。その結果、簡単な質問(例:「昭和100年は西暦何年?」など)に対しては、ユーザーはAIの最初の回答で満足し、それ以上のクリックをしないケースは増えています。

しかし、これは同時に、生成AIによる検索を経由してウェブサイトを訪れるユーザーの目的が、より明確になったことを意味します。

生成AIが概要説明を提供した後、人々はトピックをさらに深堀り、探求したり、あるいは購入したりするためにサイトを訪問しているのです。生成AIによる回答に満足できないか、あるいは確認したいことがあるのか、いずれにせよより深い情報を求めてサイトを訪問してくると考えられます。

2.クリックの質向上とコンバージョン率の傾向

AI検索経由でサイトに流入したユーザーは、従来の検索経由のユーザーよりも質が高いというデータも出ています。

Googleのデータでは、AI検索導入後、平均クリック品質が向上し、質の高いクリックをウェブサイトに送信しているとされています。

Googleの言う「質の高いクリック」とは、ユーザーがすぐに検索結果に戻らないクリックであり、ユーザーがそのサイトに強い関心を持っているシグナルです。

CRMを提供するHubSpotの事例では、AI経由で獲得したリードは、通常検索からのリードと比べて商品やサービスへの理解が深く熱量が高い傾向にあり、最大3倍のコンバージョン率を記録したと報告されています。

これらのことから、生成AIが基本的な情報を提供する「ふるい」の役割を果たし、興味関心が高い段階の顧客だけがサイトに誘導されていると推測されます。

購買検討の後押しと独自のコンテンツへの渇望

一方で、生成AI(AIチャット)からのトラフィックが、Googleからのオーガニック検索と比較してコンバージョン率が13%低いという大学の研究データも報告されています。
【予想外】AI流入「高品質」は嘘?CV率Google比13%負け+AIモード最新情報|SEOWeeklyUpdate

これは一見矛盾しているように見えますが、生成AIの役割を理解することで説明がつきます。

生成AIは、ユーザーの購買検討プロセスにおける、調査・情報収集段階で非常に強く影響を与え、意思決定を大きく手助けしています。しかし、ユーザーは生成AIで製品やサービスを比較検討した後、最終的な購入行動(コンバージョン)は、指名検索やAmazonなどで直接行う傾向があるということです。

つまり、AIはユーザーに「この製品が良い」という情報を提供しますが、ユーザーは一旦立ち止まって検討し、コンバージョンは別のチャネルで行うため、生成AIからの直接コンバージョン率は低く見えると推定されます。

これは、ECサイトでの自分の購買行動を振り返れば、容易に想像がつきます。よほど急いで切羽詰まった状況でない限り、製品を検索して即購入するユーザーは少ないでしょう。

ユーザーは生成AIと指名検索をうまく使い分けているのではないかと考えられます。

生成AIは、ユーザーの購買行動において「初期の情報収集」を代行し、「比較検討」段階ににも、大きく寄与しています。結果的に知識レベルと熱量の高い顧客を企業サイトへと誘導する役割を果たしていると推定できます。

ユーザーは「独自性」と「信頼性」を求める

生成AIが一般的な情報を容易に生成できるようになった結果、ユーザーはAIでは得られない情報、つまり独自性と信頼性を持つコンテンツを積極的に求めるようになっています。

例えば、比較検討段階にある人々は、利用者の本音や一次情報を得られるフォーラム、動画、ポッドキャスト、または詳細なレビューや独自の視点、思慮深い一人称による分析を提供する質の高いウェブコンテンツをますます求めています。

B2Bにおいて、利用事例が重要になるのはこのためです。信頼できる具体的な実績こそが、深い検討段階にあるB2B顧客の意思決定に不可欠であることを示しています。

本音や一次情報を得られ、ユーザーの本当に知りたい情報を提供するサイトは、ユーザーの関心の変化から恩恵を受けてトラフィックが増加していると推定できます。生成AI時代にあっても、すべてのウェブサイトで流入数が減少しているわけではありません。

しかし最終的なコンバージョンに生成AIがどこまで影響しているか、公開された調査が見つからず、現段階では定説が定まっていません。

AI検索は、ウェブサイトのアクセス量と質の変化をどう引き起こしたか

このようにユーザーの行動が変化した結果、ウェブサイトへのアクセス量と質はどのように変化したでしょうか。

AI検索の導入は、多くのサイトで、ウェブサイトへのアクセス量(トラフィックボリューム)に減少をもたらす一方で、残ったクリックの質(クオリティ)を向上させるという、相反する変化を引き起こしています。

アクセス量の変化(ボリューム)

ウェブサイトのアクセス動向については、Google公式見解と民間調査の間で認識のずれが見られます。

Googleは、集計トラフィックが劇的に減少したとする第三者報告は、不正確な方法論やAI機能導入以前の変化に基づいているとして、これに反論しています。

Googleのデータによれば、Google検索からウェブサイトへのオーガニッククリックの総量は前年比で比較的安定していると述べています。

しかし、民間調査では、アクセス減少が具体的に報告されています。冒頭でご紹介した国内調査では、Google検索を通じたウェブサイトへの訪問数が過去2年間で33%減少し、検索結果からリンク先を訪問した確率も8ポイント下がったことが判明しています。

アクセス質の変化(クオリティ)

Googleのデータでは、AI検索導入後、平均クリック品質が向上し、質の高いクリックをわずかに多くウェブサイトに送信しているとしています。AI検索は、ウェブサイトへのクリックの質を高める効果があるとされています。

ここでいう「質の高いクリック」とは、ユーザーがすぐに検索結果に戻らない(クリックバックしない)クリックを指しており、これはユーザーがそのウェブサイトに強い関心を持っているシグナルだとされています。

This is why we see click quality increasing—an AI response might provide the layof the land,but people click to dive deeper and learn more,and when they do,these clicks are more valuable.

「AI応答が状況の概要を提供するかもしれないが、人々はより深く掘り下げ、さらに学ぶためにクリックする。そして、そのクリックはより価値のあるものとなる。」
出典: AI in Search is driving more queries and higher quality clicks

では、本当に「生成AIからのユーザーの質が高い」というエビデンスがあるのでしょうか?

CRMを提供するHubSpotは、AI検索の影響を分析した結果、以下のようなエビデンスを報告しています。

「SEOでは認知拡大を目的としているケースが多いため、購買プロセスの初期段階に属する人が集まりやすい。一方AI経由では、より購買に近いフェーズの顧客が獲得できる傾向があるとし、『(Web検索などの)一般的なソースからの訪問者と比べて、(AI経由の訪問者は)最大3倍のコンバージョン率を記録している』」

しかしGoogle以外の第三者による大規模調査で、生成AIからのユーザーが「質の高いクリック」をもたらすという報告は残念ながら見つかりませんでした。

まとめ:「訪問数」の意味が変質

Googleは全体的なトラフィックが安定しており、質の高いユーザーが増えると主張していますが、確たる数字が出るのはこれからでしょう。

前章で説明したように、ユーザーは現在、利用者の本音や一次情報、動画、ポッドキャスト、詳細なレビュー、独自の投稿、独自の視点など、「質の高い」ウェブコンテンツを求めてクリックする傾向が強くなっています。

これらのニーズを満たすサイトは、ユーザーの関心の変化から恩恵を受けてトラフィックが増加していると推定できます。

AI検索がもたらしたウェブサイトへのアクセス変化は、ユーザーの検索行動が根本的に変わった結果と捉えることができます。

その結果「アクセス量の減少と質の向上」という複雑な現象が起きるサイトもあるでしょう。逆に、検索による流入が増加したサイトも現れています。

流入の減ったB2B企業が取るべき戦略

サイトにたどり着くユーザーは、AIによって基本的な情報収集を終えているユーザーであるという点を踏まえて、B2Bマーケターはどのような戦略を取るべきなのでしょうか。

サイトの目的にもよりますが、リード獲得のためにトラフィックの量を追いかけるのではなく、購買意欲の高さという「質」を基準に顧客接点を設計し、AIに引用されるための「独自性のあるコンテンツ」の提供に注力する必要性が高まっています。

AI検索への戦略転換

AEO(Answer Engine Optimization アンサーエンジン最適化)ともLLMO( Large Language Model Optimization 大規模言語モデル最適化)、GEO( Generative Engine Optimization 生成エンジン最適化)などいろいろな呼び方がありますが、要するに生成AIが導入された検索対策と考えるとほぼ同義です。

AI検索時代におけるB2Bマーケティングのゴールは、もはや検索結果のランキング上位に表示され流入を増やすことだけではありません。

AI検索における目的は、「ユーザーの問いに対する回答の一部になること」です。つまり、AIとの会話やAIからの回答の中で、自社コンテンツをより多く紹介される状態を目指します。

また、SEOでは被リンクが重視されていましたが、AEOでは「ブランドへの言及を最適化すること」が鍵となります。前述のHubSpotの事例によれば、「訪問数ではなく可視性の最適化が重要なのです。より質が高く、知識豊富な購買者を引きつけることが本質です」と述べられています。

ここで言う「可視性の最適化」とは、生成AIに対してどれだけ自社サイト及びブランド名が引用され表示されたを指します。

これは生成AIを使って、製品選定の初期に情報収集をしているユーザーまたは比較検討している段階のユーザーに対して、露出を高めるという意味でマーケティング上大きな意味があります。

では生成AI時代にどのようにして自社表示の頻度を高めていけばよいのでしょうか。

①信頼性シグナル(ブランドメンション)の強化とPR戦略

AI検索時代に露出を増やす鍵は、PR(広報活動)の強化にあります。

Googleのプロダクト担当者は、AIモードやAI Overviewで露出を増やすには、従来のSEOと並行してPRが重要であると述べています。(「【予想外】AI流入『高品質』は嘘?CV率Google比13%負け+AI モード最新情報|SEO Weekly Update」)

AEOでは、自社コンテンツが「さまざまな場で、ポジティブな言及をどれだけ多く獲得できるか」が極めて重要になります。Googleは、AIの回答の中でウェブでの信頼できるところからの言及が出てくることが重要であるとしています。

広報活動を通じて、メディアや業界の信頼できる情報源から意図的に言及や引用を獲得することで、AIに引用されやすい「ブランドメンション」という信頼性シグナルを強化できます。

マーケティングと広報が兼務している中小企業にとっては良いニュースといえます。大企業では、マーケティングと広報は別部門になりますからこの連携を強化していくべきでしょう。

②コンテンツ再設計

AI検索を経由してサイトに到達するユーザーは、既に基本的な初期の情報収集は終わった段階のユーザーが訪れています。

ある程度知識があり興味関心が高いユーザーと考えられるため、その意欲を確実に行動に結びつけるコンテンツが必要です。

B2B企業が最も重視すべきコンテンツは、「顧客課題を正確に捉えた具体的なストーリー(事例)公開」です。購買検討段階にある顧客に対し、信頼できる実績と具体的な解決策を提供することが不可欠です。

また、HubSpotが実践したAEO対策も参考になります。

HubSpotのブログ記事は更新頻度、質、量ともにコンテンツマーケティングという観点では秀逸なサイトでしたが、生成AI登場後、Googleからのアクセス流入が80%減少したという大打撃を経験しています。

そのアクセス流入の減少を復活させるためにHubSpotは様々な取り組みを行いましたが、その結果は以下の3つのアドバイスに集約されています。

1.構造化の徹底: AIエンジンは非常に怠惰な読者であるため、箇条書き、表、明確な見出しを使用し、すべてを会話形式で構成することで、AIが内容を理解しやすくする。

2.答えをページの最上部に置く: コンテンツの最初の1文は、AIエンジンに提供しようとしている質問に対する直接的な回答であるべき。

3.製品への明確な結びつけ: 企業が語る抽象的な概念と、自社製品・サービスが実現できる機能との関連性を明確に示すことで、購買に近い見込み客を橋渡しする。

最後の、「企業が語る抽象的な概念と、自社製品・サービスが実現できる機能との関連性を明確に示す」という点は、「自社製品・サービスで具体的に何が実現できるのか、それがユーザーにとってどのようなメリットがあるのか」ということを明確に示すということです。

また、AIが容易に生成できない「独自性」と「一次情報」を積極的に発信すべきです。

活用されないまま眠っている社内データ、専門的な調査結果、または独自のツールなどを公開することは、結果的に質の高いトラフィック増加につながります。

③ 多角的なチャネル活用と独自のデータ発信

AI時代、ユーザーが情報を獲得する方法も多様化してきています。このため、複数チャネルを組み合わせる必要性が高まっています。

具体的には、アクセス減少への対応として、「広告運用の最適化」や「SNS・動画での発信強化」といった複数チャネルを組み合わせてユーザーとの接点を増やすアプローチが求められています。

まとめ:SEOからAEOへ

流入が減少したB2B企業が検討すべき課題の本質は、従来のようにSEOで追求した「訪問数増加」ではなく、「コンバージョン率の高い知識豊富な興味関心層」をどのように獲得するかです。

そのためには、生成AIへの信頼性シグナルを強化することが重要です。具体的には、ブランドの信頼性を高めるPR活動を行い、AIに引用されやすく購買意欲を促進する質の高い事例コンテンツの提供に注力することが不可欠です。

まとめ:AI検索は「危機」ではなく「機会」である

B2B企業において、AI検索の台頭はアクセス数減少という「危機」を引き起こしました。

しかし、AI検索は同時に「機会」ももたらしています。

日経クロストレンドが2025年11月に行った調査によると、AIが自社コンテンツを学習・引用することを「機会」と捉える企業が70%に達するなど前向きな意識が見られます。

一方で、AI経由の検索対策への取り組みについては『まだ様子見、何もしていない』が47%と半数近くに達し、意欲と行動の間にはギャップが見られているのも事実です。(日経クロストレンド調査:noteまたはnoteの法人向けサービス利用企業83社からアンケート回答

したがって、新しい環境下でB2B企業が取るべき戦略は、従来のように「訪問数の回復」ではなく、流入してくるクリックの意味が変わったという明確な認識を持つこと、そして質の高い顧客を引きつけるための最適化であるといえます。

別の言葉で言えば、生成AIは、コンテンツの『量』よりも『質』が重視される時代を到来させました。

この変化を機会と捉え、貴社ならではの価値と信頼性を表現し、質の高い見込み客と深く関わる戦略へと軸足を移していくことが求められます。

本記事でご紹介したような、AI検索時代の最新のマーケティング戦略や具体的なAEO(AIエンジン最適化)手法について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひメルマガにご登録ください。最新情報をお届けします。

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[参考資料]

Google経由のサイト訪問、日本でも3割減AI要約の浸透で

「AI検索」対応で有効な3つの手段流入「80%減」を経験したHubSpotに聞く

AI検索の影響はどこまで?BtoB企業の4割超が「アクセス数が減少」【クリエイティブバンク調べ】

Google側の反応は?

生成AIのサイト流入影響を83社独自調査「脅威」より「機会」が約7割

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