どちらの会社でも、ホームページを運用するときに、KPIを設定されていると思います。
しかしそのKPIを決めるのに、お困りになっていらっしゃることはないでしょうか。
一応KPIは決めてあるけど、本当にこのKPIは妥当なんだろうかとお悩みになったことはありませんか?
私もお客様から何度か同じ質問を受けました。
今日はB2Bのサイトとして、コンバージョンKPIをどの程度にするのが妥当なのかということについてデータを引きながらご説明したいと思います。
お客様からの質問に回答するために、私も色々と調べました。
かなり探しましたが、調査データを公開しているところは滅多にありません。
公開データをやっと見つけることはできましたが、いずれも海外のデータであるため日本の場合はどうなのかと言うと、いささかしっくりきません。
ですので、国内のネット広告関連会社のブログにあった数値、ネット広告の経験値の高い独立事業者の個人的な感覚値というのも併せて載せてあります。
少しでもお役に立てば幸いです。
コンバージョン率のデータを扱うに当たっての注意点
まずここにあげてある各調査のコンバージョン率のデータは絶対だ、という認識は持たないでください。
業種業界によってコンバージョン率はかなり違っています。
また、サイト毎にコンバージョンの定義は大きく違っており、どこをコンバージョンと定義するかによって数値は大きく変わってきます。
ですので、自社の業種業態に最も近いものを参考にされる程度の考えで良いかと思います。
wordstream社調査データ
こちらのデータはGoogleのリスティング広告及びディスプレイ広告の全産業平均を扱ったものです。
データがやや古く2018年時点という数字ですが、全業種と言っているのは、B2B含む自動車、消費者サービス、EC、保険金融等の16業種です。
B2Bに関係ありそうな指標を拾ってみました。
●AverageClickThroughRate(CTR)
リスティング広告 | ディスプレイ広告 | |
全産業平均 | 3.17% | 0.46% |
IndustrialServices | 2.61% | 0.5% |
B2B | 2.41% | 0.46% |
●AverageCostperClick(CPC)
リスティング広告 | ディスプレイ広告 | |
全産業平均 | 2.69$ | 0.63$ |
IndustrialServices | 2.56$ | 0.54$ |
B2B | 3.33$ | 0.79$ |
●AverageConversionRate(CVR)
リスティング広告 | ディスプレイ広告 | |
全産業平均 | 3.75% | 0.77% |
IndustrialServices | 3.37% | 0.94% |
B2B | 3.04% | 0.80% |
全産業平均でリスティング広告のCPAは48.96$ディスプレイ広告のCPCは75.51$です。
●AverageCostperAction(CPA)
リスティング広告 | ディスプレイ広告 | |
全産業平均 | 48.96$ | 75.51$ |
IndustrialServices | 79.28$ | 51.58$ |
B2B | 116.33$ | 130.36$ |
ここでは製造業とBTOBの数字のみを拾いましたが他の産業で確認をしたい場合はこちらのサイトからご覧ください。英語ですが数字が分かりやすく表になっています。

Contentsquare社調査データ
もう1つ、米国のContentsquareが2021年に調査したデータをご紹介します。
同調査は、日本を含む25か国、460億以上のユーザーセッションを対象にした大規模なものです。
こちらの調査によると、すべての業界の平均が1.82%です。B2Bは0.6%です。

Contentsquare社はその後も継続してベンチマーク調査を発表しています。
最新版2023年度版のベンチマークの結果がこちらです。
2023年度版では2021年度版に比べて業界を細かく表示をしてくれたデータを見つけることはできませんでした。
ですが全産業と製造業のコンバージョンレートがデスクトップとモバイルでどれだけ違うのかということを示した表がありました。


2023年度版のデータを見ると、2021年度前回の数値からコンバージョンレートはほぼ横ばいになっていることが分かります。
しかし前回調査でBTOBのコンバージョンレートは0.6でしたから、今回のデータとはかなり差があります。
こちらの資料は公開はされていますが、ユーザー登録が必要な資料になります。
詳細をお知りになりたい方はこちらからダウンロードをしてください。
日本の専門家の感覚値
このように海外の大規模調査データを見てきましたが、やはり日本の状況とは違うのではないかと思う人は大勢いると思います。
ですので、国内の有名なネット広告会社のサイトを調べたり、ネット広告歴が長い知人に実際にヒアリングをしてみました。
日本国内ブログ
日本国内でのいろいろなブログを調べてみたところ、おおよその数字ではこんな感じです。
・平均CTRがリスティング広告:1.0%、ディスプレイ:0.3%程度になる感覚です。
・各業界毎のディスプレイ広告の平均クリック率は、おおよそ0.3〜1.1%の間に収まると言われています。
・リスティング広告のおおよそ各業界毎の平均クリック率は2〜5%に収まります。
広告会社のブログの場合、実績を追求されると都合があまりよろしくない事情があるので正確なデータを出してはくれません。感覚的な表現にとどまっていますが凡その数字は把握できます。
では、本当のところはどうなのでしょうか。
フリーランスの方でネット広告経験がかなり長い方に、B2Bの場合の現実的な目標数値はどれくらいなのか、こそっと聞いてみました。
・Google検索広告ならクリック率5%
・資料ダウンロード率3%
・ウェブ問い合わせ率1%
ぐらいが妥当なのではないか、というお答えでした。ただし、LPを良くして効果を出せれば、問い合わせ率は2%ぐらいまではいけるはず、ということです。
以上から、あくまでも感覚値ではありますが、B2Bでもリスティング広告のCTR:2〜5%、ディスプレイ広告はおよそ1%、CVRの目標は、LPの構成やCVのポイントをどこにおくかにもよりますが、問い合わせなら1%を目指すべき標準的な数値としてもよいのかなと思います。
まとめ
以上BTOBの目指すべきKPIの数字について調べてみました。
アメリカの場合は調査会社が積極的にデータを業界横断で調べて公開しているのに対して日本ではそういった数値が見つけられなかったのが本当に残念です。
ただ私が知らなかっただけかもしれないのでもしご存知の方があったら是非教えてください。
ただ日本米国両方見てもB2Bというのは概して全産業全体に比べてコンバージョンは低いです。
これは製品を最終的な購入に至るまでの検討期間が長いためという非常に当たり前の原因によるものです。
自社のサイトと比べて、いかがでしょうか。
もし自社のコンバージョンレートがあまりにも平均から低い場合には、その原因をじっくり分析し、次の打ち手を考える必要があります。
ただB2Bの平均と比べてみて、どれぐらい乖離があるのかというのを健康診断のように定期的に確認する確認することそのものに意味があります。
このブログが、そのような1つのきっかけになれば幸いです。