ダークパターンという言葉をご存知でしょうか?2010年8月にハリー・ブリヌル(英語: Harry Brignull)が言い出した言葉です。「ユーザーが無意識に、自身に不利な行動を取るように誘導するデザイン」です。
ECサイトで、会員登録を退会したいけど、退会するやり方がわからないという経験はありませんか?有名な例ですが、アマゾンは自分で退会することはできません。アマゾンのヘルプセンターに自分の登録を削除して貰わないといけない。これも、一種のダークパターンです。
今は国内では法的な規制があるわけではありません。ですが、カリフォルニアでは2021年3月からECサイトは規制対象になっています。消費者庁が悪質なダークパターンから消費者を守るために、特定商取引法の改正に向けた取り組みを始めています。どんなパターンが「あまりよろしくない」という認識がされているのか、こちらのブログで整理してみました。
ダークパターンの種類
1万件を超える膨大な数のサイトを調査したプリンストン大学の調査研究やハリー・ブリヌル氏の分類がありますが、私なりに日本国内でよく見かける主なダークパターンを3つに分けてみました。
1.ECサイトによくあるダークパターン
こっそりバスケットに忍び込ませる
ユーザの同意なしに、知らない間に何故かショッピングカートに入っていたというやつです。
コストを隠す
支払い手順の最終ステップに進んだ段階で予想外の追加料金(送料、税金など)がいきなり表示される
非表示のサブスクリプション
1回きりの支払いだと思っていたら、さりげなくチェックが入っていて、実は毎月課金されるサブスクリプションだったというパターン
偽のカウントダウン
一定の期限をタイマーで示して、特別オファーや割引の期限が切れてしまうようみ見せかけるパターン
押し売り
製品のより高価なバリエーションを事前に選択するか、製品および関連製品のより高価なバリエーションを受け入れるようにユーザーに圧力をかける。カートに商品を追加すると、購入をアップグレードするように求められるパターン
2.一般のサイトにもよくあるダークパターン
視覚的干渉
スタイルとビジュアル表現を使用して、ユーザーを特定の選択肢に誘導したり、特定の選択肢から遠ざけたりします。オプトアウトオプションをグレー表示されて目だたなくしたりするパターンです。
紛らわしい質問
紛らわしい言葉を使用して、ユーザーを特定の選択に誘導します。わざと判りにくく表現してオプトアウトされにくくするパターンです。
キャンセルが難しい会員登録
通称「ゴキブリホイホイ」と言われるものです。ユーザーは簡単にサインアップできますが、キャンセルするには、電子メールまたはカスタマーケアに電話する必要があります。
強制的なアクション
タスク完了するために、ユーザーに何かを強制します。登録を終わらないとポップアップ画面が消えない、必要な情報が表示されないなどです。
3.個人的にはダークパターンとまでは言えないのでは?というダークパターン
在庫の少ないメッセージ
画面上で在庫数を表示し、購入を急がせるとか、機会が限られていることをアピールすること。とはいえ、リアルの購入でも販売員さんは同じこと、言いますよ。テレビショッピングでも同様です。
需要の高いメッセージ
これも同様で、製品の人気が高くすぐに売り切れる可能性があることをユーザーにアピールすること。リアルの購入でも販売員さんは同じこと、言いますよ。
出所が不明なお客様の声
出所が不明な「お客様の声」や製品の紹介文。しかし、氏名を公開を嫌がるお客様も多いため、「お客様の声」の出所を完全に明らかにすることは実際には難しいです。
まとめ
というわけで、ダークパターンと一口に言ってもいろいろなパターンがあります。調べてみると日本では約6割のサイトがダークパターンを採用。しかし、どこまでが悪質なダークパターンかというのも、今後の議論になってゆくと思います。
ですので、現段階で、必ずしも欧米の基準に厳格に従う必要はないのではないかと思います。しかし、日本の法規制も時期の差はあるものの欧州型に倣う流れになっています。また全世界的に消費者保護の傾向は強まっています。
ECサイトをもっていても、いなくても、「これは利用者にとって不利なことではないか」という観点で、ホームページのユーザインターフェイスを見直していただければ嬉しいです。そして訪れる方が違和感なく利用できるホームページにしていっていただければと思います。